トヨタ自動車は、米国内における自動車生産事業体であるToyota Motor Manufacturing, Indiana, Inc.(TMMI)において、ミッドサイズSUVであるハイランダーへの旺盛な需要に対応するとともに、インディアナ工場全体を刷新するために、約6億米ドル(680億円)を投資すると正式に発表した。
2019年秋に米インディアナ州の工場におけるハイランダーの生産能力を4万台増強し、新規に400人を雇用する。トランプ大統領が自動車各社に米国での雇用増を求めるなか、これに対応した恰好だ。
TMMIにおける生産能力増強の決定は、これまでも継続的に進めてきた車両生産の現地化推進の一環であり、今後も米国で持続的成長に取り組んでいくトヨタの姿勢を象徴するものである。今月上旬開催の2017北米国際自動車ショーにおいて、北米トヨタCEOのジム・レンツ氏は「米国にある既存工場の競争力をさらに向上させるべく、今後5年で米国に100億米ドルを投じていく」と述べている。がトランプ政権が掲げる「米国第一」主義が日本企業にも及んできたと見るのが妥当なようだ。
現在約5000人を雇用するインディアナ工場の現在の生産能力は、2016年実績で、40万台。ガソリン安が続く米国ではSUVなどの大型車に人気が集中している。
トランプ大統領は就任前の1月5日、トヨタのメキシコ工場建設を「ありえない」と批判。これを受け、トヨタは「今後5年間で米国に100億ドルを投資する」方針を打ち出したばかり。今回の投資発表はその一環だ。
自動車産業を狙い撃ちにする「口先介入」はトランプ大統領が就任前から続けている戦略だ。同氏は1月24日に、ゼネラル・モーターズやフォード・モーターなど米ビッグ3のトップと会い「新規工場の建設を求める」と米国での投資拡大を改めて要求したとされる。(編集担当:吉田恒)