IDC Japanは、2020年1月に予定されているWindows 7の延長サポート終了(EOS: End of Support)に向け、国内企業で主に利用されているWindows 7のWindows 10への切り替え行動について調査し、その分析結果を発表した。
IDCは、Windows XP EOS時と比較分析をした結果、Windows 7 EOS時にもWindows XP EOS当時と同様の急激なPCの買い替えが進められる可能性が高いと、警鐘を鳴らしている。
まず、2014年のWindows XP EOS当時の状況を振り返ると、Windows XP EOSの1年前に、企業で稼働するPCの29.3%はWindows XPが搭載されたPCだった。企業規模別に見ると、中堅中小企業(従業員数500人未満)では24.0%、大企業(従業員数500人以上)では35.4%と、端末台数が多くシステム規模が大きな企業の方がWindows XPを搭載するPCの残存率が高かったことがわかった。しかし、総務省やマスコミによるWindows XPのセキュリティリスクに関する注意喚起が功を奏したこともあり、2013年後半~2014年前半にかけて、Windows 7を中心とした次世代OSのPCへの買い替えが行われた。結果、この時期の国内PC出荷数は、過去最大規模となった。
次に、Windows 7 EOSに伴うWindows 10への移行計画を分析すると、2016年時点でWindows 10への切り替え計画がある企業は約56%にとどまった。これを企業規模別に見ると、中堅中小企業では約45%、大企業では約67%と、大企業の方が切り替え計画のある比率が高いことがわかる。そして、切り替え計画のある企業におけるWindows 10へ切替え進捗率をみると、Windows 7のEOSの1年前にあたる2019年での進捗率は65.4%、つまりWindows 7の残存率が34.6%に達する見込みであることがわかった。これをWindows XP EOS 1年前のWindows XP搭載PCの残存率29.3%と比べると、Windows 7 EOS時の方が古いOSを搭載したPCの割合が高くなるという分析結果となった。さらに、Windows XP EOS 1年前のWindows XP残存率と同様に、大企業の方が新しいOSへの切り替え進捗率が低い結果となった。
この調査結果を基にIDCは、このままの状態が続くと2020年のWindows 7 EOS直前の2019年に、Windows XP EOS時と同様に大量のPC買い替えが起こり、その後に一気に企業PC市場が冷え込むと予測している。短期間に需要が集中し、その後低迷が長く続くと、PCベンダー、部品メーカー、販売チャネルなどPC業界関係企業においてビジネスプランニングが困難になり事業継続が難しくなるプレーヤーが出てくることが懸念されるという。同時に、ユーザー企業にとっても単年でのPCの大量買い替えは、急激なIT予算の出費となり、他のIT予算や会社の経費全体に対し大きな負担になると考えられる。このような事態を避けるために、PC業界が一丸となって、ユーザー企業におけるWindows 10への移行を促進し、PC買い替え需要の平準化を進めることが肝要であるとIDCでは考えるとしている。(編集担当:慶尾六郎)