GfKジャパンは、全国の有力家電・IT取扱店の販売実績データ等を基に2016年の家電およびIT市場の販売動向を発表した。
2016年の家電小売市場規模は前年比1.5%減の7兆円となった。分類別では大型生活家電が洗濯機やエアコンなどの平均価格の上昇に下支えされ金額前年比2%増。小型生活家電も空気清浄器、ドライヤー、オーブントースターなどが成長し前年を上回った。一方、IT関連製品はパソコン本体と周辺機器の需要減が続きマイナス成長となった。AV関連製品は、4Kテレビの伸長というプラス要因もあったが、主要製品の需要減を補うには至らず同6%減となった。
インターネット通販は全体が縮小する中、成長基調を維持した。家電小売市場全体におけるインターネット通販の金額構成比は前年から0.5%ポイント上昇し12.1%となった。ボーナスシーズンにおける大型セールの定着も成長の一因となった。
2016年の携帯電話市場は総務省による端末値引きの適正化施策により縮小が懸念されていたが、販売台数は3,010万台と前年比では3%減にとどまった(図2)。ただし、契約種別にみると、MNPを含む新規契約販売は同25%減と影響を受けた。なお、スマートフォン(ファブレット含む)は前年比1%増の2,570万台で、携帯電話販売における数量構成比は85%に達した。また、SIMフリースマートフォンは数量構成比でスマートフォンの5%を占めるまでに拡大した。
スマートフォンアクセサリーは、家電量販店においては数量前年比4%増となった。ケースではレザーやハイブリットタイプ、液晶保護フィルムでは強化ガラスや耐衝撃タイプ、充電器では大容量リチウム充電池など、高単価な製品が需要を集めた。結果、金額前年比は13%増となった。
ウェアラブル端末は前年比5%増の120万台となった。数量ベースで市場の2割を占めるスマートウォッチは同4%減となったが、5割を占めるフィットネストラッカーは同4%増、スポーツウォッチは同19%増と成長基調を維持した。ウェアラブル端末全体の平均価格は、高単価なスマートウォッチの販売減を受け、前年から約1割低下し18,900円となった。結果、市場全体の金額規模は前年比6%減となった。
2016年のIT・オフィス市場は、パソコン・タブレット端末をはじめ、多くの周辺機器でマイナス成長となった。パソコンは前年比1%減の1,100万台となった。リテール市場は同12%減の320万台と、スマートフォン等での代替や、買い替えサイクルの長期化などにより市場縮小が続いた。ただし、年後半は微減にとどまっており、縮小も底を打ちつつあるとみられる。また、リテール市場では平均価格が前年から6%上昇しており、金額ベースでは前年比8%減にとどまった。リセラー市場をみると、数量前年比は7%増となった。ただ、比較対象である前年の販売水準が低かったという側面もあり、Windows XPサポート終了特需前と比較すると、回復は道半ばと言える。Windows OSのサポート方針の変更により、販売は一時的に動いたものの、年を通してみれば前年からの緩やかな回復基調に沿う形となった。
タブレット端末は前年比6%減の690万台と通年で初めてのマイナス成長となった。リテール市場は携帯電話専門店の販売拡大により前年比1%増の420万台と僅かながらプラス成長を維持した。通信方法別に内訳をみると、回線付きモデルが77%、Wi-Fiモデルが20%、SIMフリーモデルが3%を占めた。(編集担当:慶尾六郎)