発表会で行われたデモの様子。『SRアクティブマットレス 体圧ブンさん』に仰向けに臥床した状態から写真のように寝返りをうって横向きになると、センサーが察知して減圧を始める。写真右のモニターで赤くなっている部分の体圧がとくに高いことを示している
医療現場や闘病による長期寝たきりで起こる“床ずれ”。自動車用防振ゴム大手の住友理工<5191>は、この床ずれを防止する『SRアクティブマットレス 体圧ブンさん』を開発し、発表した。同社は“圧切替型マットレス”に求められる高度な体圧分散機能と、利用者の床上動作訓練やリハビリテーション施術を容易にする「静止型(ウレタン系)マットレス」の高い安定性を両立した製品開発を目標に、九州大学と共同研究を行なってきた。
床ずれは皮膚への持続的な圧迫やズレ(せん断力)によって血流が悪化し皮膚障害を発生、発疹から皮膚組織の壊死に至ってしまう。長い疾病治療の闘病生活において、ベッドに寝たきりの臥床患者に起きやすい。
今回発表となった『SRアクティブマットレス 体圧ブンさん』は、その共同研究の成果で、3月31日に発売となった。
この『SRアクティブマットレス 体圧ブンさん』(体圧ブンさん)は、住友理工が開発したコア技術、導電性ゴムである「スマートラバー(SR)センサ」をエアマットレスに利用。マットレスに内蔵したSRが利用者の全身の体圧を測定し、とくに圧力が高いと検知した箇所の内蔵エアセルが自動的にピンポイントで作動し、体圧を分散させるエアマットレスだ。
「体圧ブンさん」は、90mm角108個の2重(2階建て)のエアセルがSRセンサの下に配列され、そこに臥床する利用者の体圧をリアルタイムでモニターする。
ゴム製の体圧検知センサーを用いたことで、ゴムの特性を活かした柔らかなマットレス面が実現。快適性を追求した高機能エアマットレス『SRアクティブマットレス 体圧ブンさん』が利用者のQOL(Quality of Life)をサポートする。
東京都内のホテルで開催された『SRアクティブマットレス 体圧ブンさん』の発表会&セミナーには、新製品の研究開発に携わった佐賀整肢学園こども発達医療センター副院長で九州大学客員教授の高杉紳一郎医師が講師として参加。SRアクティブマットレスが誕生するに至った背景と経緯について説明した。
同教授によると、床ずれは一般的に仙骨部や肩甲骨部、かかとや後頭部などのように肉の薄い皮膚部分に起きやすい。つまり臥床時に圧力が集中する部位だ。“体圧ブンさん”はその高い体圧を察知して、面積90×90mm単位で体圧を除圧する。利用者の体圧をつねに観察し、利用者が寝返りするなどの動きを検知するか、30分経過すると再度モニターし体圧を分散する。
マットレスの寸法は、一般的な介護用電動ベッドフレームに合わせた全長×全幅×厚さ1890×830×150mm、自重13kg。8kgの専用ポンプが付属し、許容仰臥体重100kgという仕様。使用方法はいたって簡単で、機器を電源コンセントに接続してスイッチを入れるだけ。まるで“家電感覚”で使えると感じた。『SRアクティブマットレス 体圧ブンさん』の希望小売価格は、69万8000円(税別)。(編集担当:吉田恒)