パソコンやスマートフォンの普及によって、すっかりお馴染みになったUSB。機器同士をつないだり、データを転送したり、デジタルライフには欠かせないものだが、USBをコネクタに差し込もうとして上下が逆で、イラッとした経験を持つ人は多いだろう。
そんな不満を解消するべく上下の向きがないUSBとして2015年頃に登場したのが、USB type-Cだ。2015年3月に発売されたMacBookにUSB Type-Cポートが搭載されて、当時は大いに話題となった。その後、16年にはコネクタがUSB type-Cのスマートフォンも多数登場している。
USB Type-Cの特徴は上下左右の区別がないだけではない。双方向に電源供給が可能なUSB Power Delivery (以下、USB PD)規格に対応しているうえ、映像出力用としても使えるのが特長だ。Type-Cコネクタ搭載の機器が普及すれば、ケーブル1本でほとんどすべての周辺機器と接続でき、電源供給もまかなうことができるようになるだろう。
しかも近年、これまで最大15Wまでの電力供給しかできなかったものが、USB PDの規格上の最大値である100Wまでの受給電が可能になった。つまり、ノートPCやTV など大きな電力を必要とする機器でさえも、USB端子からの給電によって駆動できるということだ。家庭やホテルなどにおいて、インフラの変革要因としても注目されており、Type-Cを利用したUSBPDの普及が今後益々、加速していくことは間違いないだろう。
そんな中、USBPD対応機器の開発環境も急速に整いつつある。
電子部品大手のローム株式会社は7月6日、USB Type-CコネクタでUSB PDを実現する電力受給電用評価ボード6製品「BM92AxxMWV-EVK-001」シリーズのインターネット販売の開始を発表した。同製品には、ロームが開発したUSBPDコントローラIC が搭載されており、多彩な用途に適応可能な6種類の評価ボードから、給電側と受電側のボードを組み合わせることでUSBPDを使用した受給電を簡単に実現し、評価することができる。また、USB Type-C規格Rev1.1 とUSBPD規格Rev2.0 をサポートしているため、Type-C コネクタを実装した機器と接続することも可能だ。
インターネット販売なので、大手企業の製品開発だけでなく、個人やベンチャーなども手軽に購入できる。もしかすると、Type-CとUSBPDの特長を活かした新しい発想のものが生まれてくるかもしれない。(編集担当:藤原伊織)