日本が誇る文化の一つとしてのゲームは時代とともに変遷を重ねてきた。現在ではスマホゲームが主流となり、外出先や移動中にゲームをすることも当たり前となってきている。情報通信白書のデータによれば、2016年2月の調査において、スマートフォンの利用率は60.2%である。年代別に見ると、20代の利用率が87.0%と最も高くなっており、デバイスは生活の一部として機能する時代となっている。
そんな中、矢野経済研究所が今年4月に発表したスマホゲーム市場に関する調査によると、16年に入り、国内市場の成長率はやや鈍化傾向にある。市場に投入されるゲームについて課金の仕組みやゲーム性の類似が見受けられはじめ、ヒットタイトルが年々出現しにくくなるなか、スマホゲームメーカー各社には家庭用ゲーム機と同等レベルの開発技術力が求められ人材確保や開発期間の長期化に伴うコスト増大といった課題が重くのしかかっている。これまでのように少ない資本で多くの収益が得られる状況ではなく、ゲームアプリ開発には相応の負担を強いられる状況にある。
一方で、ユーザ側のスマホゲームへの関心は依然高い水準で推移している。三菱総合研究所が行ったスマホの動向調査によると、スマートフォンの利用者のうち、スマホゲームで遊んだ経験者は68.9%で、その中でスマホゲームにお金を支払った経験者は24.3%。40代以降を除いた約70%が「ほとんど毎日」スマホゲームをしており、若年層ほどその傾向が強い結果となった。
「1日おきくらい」まで含めると80%を超え、身近となったゲームへの依存度の高さが伺える。
また、ディーアンドエムが行った調査では、「どこでスマホゲームをプレイしますか?」という質問に対し、すべての年代で「自宅」がその他の回答の2倍以上の票数で1位となり「ゆっくりプレイしたいから」や「人に見られたくないから」など、スマホゲームへの没入感が高まっておりスマホゲームのクオリティは従来の据え置き機に近づきつつある事が伺える。
以上から、市場の競争の熾烈さに起因するゲームメーカー側の開発への疲弊や収益確保の難化と、一方で依然上昇を続けるユーザ側の利用率の高さ、ゲームへの期待感との乖離が感じられる結果となった。近年では、基本的なサービスを無料で提供し、追加的なサービスを有料で提供し収益を得るフリーミアムモデルといったビジネスモデルが一般的となり、
有力なコンテンツを有するゲームメーカーの市場寡占化、小規模事業者の淘汰が進むことも懸念されているゲーム市場。多様化するユーザの要望への対応は難化が続くことが予想される。次々にアップデートされる強力なガチャキャラ、その際限は見えない。そんなゲーム市場において、消費されつくされない、後世に残る作品の出現に期待したい。(編集担当:久保田雄城)