クレーマー、消費者の約4割、従業員にストレス。連合調べ

2018年01月16日 06:13

画・クレーマー、消費者の約4割、従業員にストレス

連合は接客業でのクレーマーの実態を把握するため、一般消費者と従事者、各1000人を対象に調査を実施した。一般消費者の39.2%がクレームを言ったことがあると回答。暴言33%等、従業者に精神的ストレス。

 近年、接客業務担当者への行き過ぎたクレームが問題視されている。暴言や大声を出すなどの迷惑行為が代表的だが、中には暴力や長時間拘束など犯罪につながりかねないものもある。

 連合(日本労働組合総連合会)は21日、「消費者行動に関する実態調査」を実施し、その中でクレーム問題に関するアンケート調査を一般消費者と接客業務従事者それぞれ1000人を対象として行い、その結果を公表した。

 調査結果によれば「苦情・クレームを言った経験があるか」と一般消費者1000人(15~69歳)に尋ねたところ「言ったことがある」と答えた者は全体で39.2%であった。男女別に内訳をみると男性42.6%で、女性が42.6%と女性の方がわずかに高くなっている。年代別にみると、年代が上がるにつれて「ある」と答える者が増えており、全体の平均を超えるのは40代の47.5%、50代の51.5%、60代の49.1%で、50代では過半数を超えている。

 従事者に消費者から受けた迷惑行為について尋ねたところ、「暴言を吐く」が33.1%と最も多く、次いで「威嚇・脅迫的な態度を取る」が28.5%、「説教など、権威的な態度」19.2%、「何回も同じクレーム内容を執拗に繰り返す」が16.7%、「従業員を長時間拘束する」10.4%などとなっている。何らかの迷惑行為を受けたことがある者は全体で56.9%と半数を超えている。業種別にみると「公務」が79.4%と最も高く、次いで「情報通信」が69.6%、「運輸・郵便」が66.7%、「金融・保険」が61.9%となっている。

 迷惑行為に関するマニュアル作成や教育などが実施されているかについては、「実施されている」が42.9%で、「実施されていない」が57.1%となり、業種別にみると、「実施されている」が半数を超えたのは、公務の67.6%と金融・保険の59.5%の2つにとどまり、一方、小売37.5%や飲食店・飲食サービス33.8%では3割台と極めて低い値となっている。全体として半数以上の事業所で迷惑行為に関するマニュアル作成や教育が行われていない。

 「迷惑行為をなくすために必要なこと」については「消費者への啓発活動」49.5%と最も多く、「企業のクレーマー対策の教育」が40.6%、「法律による防止」37.3%、「企業のマニュアル整備」32.5%などとなっている。

 迷惑行為は一般消費者の84.6%が「不愉快」と回答しており、また、従業員が精神的なストレスから精神疾患を発症するケースもある。消費者への啓発とマニュアル整備等の企業側の対策の充実が期待される。(編集担当:久保田雄城)