2016年も引き続き、中国人の「爆買い」が日本各地を賑わせている。これを受けて、化粧品や日用品メーカーは国内生産拠点の増強に乗り出し、「メイドインジャパン」の需要に応えたいとしている。また、爆買いの陰に隠れがちだが、ニキビ治療や美容室、カラオケといった体験型施設も旅行の目玉となっているという。爆買いの恩恵を受けているのは、百貨店や家電量販店、ドラッグストアなどの小売業界に限った話ではないのだ。
大阪・ミナミの商店街では、訪日中国人の団体を見かけない日はない。爆買い客を取り込むべく、百貨店・家電量販店といった大型店舗はもちろん、比較的小さな商店にも中国語が堪能な店員の姿が見られる。
戎橋筋商店街(大阪市中央区)では、約100店からなる同商店街振興組合の取り組みが活発だ。各店舗のおすすめ商品を「ジャパンブランド」と命名し、商品説明を中国語で行う際のサポートを開始した。外国人観光客限定の割引などの特典を実施する店舗も増えているという。
また、百貨店も需要に応じて態勢を整えている。高島屋<8233>の大阪店では、作秋に免税カウンターを従来の1.4倍に拡げ、大丸<3086>の心斎橋店には総合免税店「ラオックス」<8202>がオープンした。
ところが一方で、不快感を示す日本人客が増えている。「中国人向けの百貨店になったらいかがですか」といったクレームが後を絶たないというのだ。
難波センター街商店街(大阪市中央区)では、中国人客を歓迎する垂れ幕を掲示していたが、今年は行わないという。爆買いは特別なことではなく、もはや日常の光景であり、特別なアピールは必要とのこと。中国人客が増えるとともに押し出されてしまった日本人客を取り戻したいとしている。
大阪観光局によると、昨年は約272万人(過去最多)の中国人客が大阪に、そのうち約69%がミナミの道頓堀を訪れていた。戎橋筋商店街振興組合の関係者は、外国人客が増えたといっても客の7割は日本人であり、日本人客が離れつつある現状に危機感を示しているという。(編集担当:久保田雄城)