白物家電とは、エアコンや冷蔵庫、洗濯機といったいわゆる「生活家電」のカテゴリーをいう。そんな白物家電の売上がここにきて復調の兆しを見せ始めている。日本電機工業会の調べによると、2017年の白物家電の国内出荷額は前年比2.0%の2兆3,479億円。これは1997年以来という、実に20年ぶりともいえる高水準だという。その当時と比較し、少子高齢化でモノが売れづらくなったといわれている中、白物家電業界に何が起こっているのか。
売上が好調な白物家電だが、中でも特に顕著な伸びを示しているのがエアコン、洗濯機、冷蔵庫だ。特にエアコンと洗濯機が好調で、エアコンは前年比6.2%増の7,232億円、洗濯機は前年比2.7%増の3,277億円とそれぞれ売上が伸びている。冷蔵庫については前年比0.8%減とやや減っているものの、それでも4,237億円という数字だ。これらの商品についてはいずれも10年前と比較しても売上が増加しているという。 白物家電の中でもこれら上位3品目だけでなく、商品カテゴリー全体でみても売上が拡大しているという。たとえばヘアドライヤーや空気清浄機、電動歯ブラシなどといった生活家電は好調な売れ行きで推移しており、こうした商品群によって白物家電の市場が広がっているといえるだろう。
この白物家電の出荷が好調な背景にあるのは、省エネ性能と時短にこだわる消費者が増えた、という点にある。商品の単価そのものは10年前と比較した場合高価格化が進んでいるものの、その分性能も向上している。たとえば冷蔵庫でいえば大容量化によってまとめ買いしても安心な性能を搭載し、洗濯機の場合は乾燥などの効率を高め、家事の「時短」をアピールする。こうした様々な点が消費者にとって受け入れられており、高い価格で販売されていても長い目で見ればメリットが大きいとの判断から売上が好調であるというのが主な要因のようだ。
これらの白物家電は、どんな商品であっても半永久的に使うことが出来るというものではない。そのため、今後の市場拡大には買い替え需要がどの程度あるのか、ということも踏まえて考える必要がある。また、技術の進歩とともに家電製品の性能も向上することから、これまでにはなかったような商品も開発されていくのではないだろうか。その意味では、白物家電の市場規模については今後も拡大しながら推移していくというのが、日本電機工業会の見通しである。(編集担当:久保田雄城)