国土交通省、車検項目を大幅拡大する方針

2018年03月08日 06:42

画・国土交通省、車検項目を大幅拡大する方針

自動ブレーキをはじめとする運転支援装置には現在車検で安全基準を確認することができない。そこで、国土交通省では車検の確認項目を拡大し、こうした新技術の安全性を確認する方針を固めた。

 自動車の技術は日進月歩で進歩が続いている。自動運転やEV車など様々な新技術が投入されており、これまでとは大きく異なる劇的な変化がもたらされていると言っても良いだろう。こうした新技術の急激な普及に伴い、国土交通省では車検時確認項目に対して大幅に拡大する方針を固めた。新たな技術は、確かに自動車業界において高い利便性を発揮し、市場の成長を活性化させるものといえるものの、安全性の確保という意味ではチェック体制が不十分であることから、国土交通省では安全性確認を目的として車検の確認項目を増やすこととした。

 新技術として発展・普及が目覚ましいのが自動ブレーキや自動ハンドルといった運転支援技術である。少子高齢化に伴い、自動車を運転するドライバーの中でも高齢者が増えていることから、こうした運転支援技術は高齢者の安全運転にもつながることから事故防止が期待されている。たとえば自動ブレーキの場合、2016年に生産された新車に対してはおよそ60%以上の搭載率となっており、かなり普及が進んでいることがわかる。また、政府も2020年までに自動ブレーキの搭載率を90%以上に高めるという目標を掲げており、このことからも運転支援装置に対する期待が高いことがうかがえる。

 とはいえ、こうした新技術に対しての確認項目は現行の車検制度には含まれていないという問題点がある。事実、自動ブレーキのセンサー不具合によるトラブルなども報告されており、その安全性については決して確実性が高いものばかりではない。もちろん製造販売するメーカー側は一定の点検整備を行い、安全性についても確認を行ってはいるものの、メーカーとの接点が少なくなってくれば安全性を確認する方法は事実上無くなってしまう。

 そこで車検でこうした新技術に対しての確認項目を設け、安全基準を満たしているかどうかを判断する。これまでの車検制度では新技術に対する安全基準の確認が行われていなかったため、機能に不備があった場合でも車検をクリアできていたが、これでは安全性を確認する車検の意味はない。国土交通省としては、新技術についても安全基準を儲けることで車検の精度を高め安全性を確保したい考えだ。

 車検制度で確認項目を拡大するためには、法律の改正も必要となる。2018年度以降、道路運送車両法に基づく関連規定の改定を進め、新技術に対して車検制度の確認項目を拡大する。運転支援装置の新技術は自動車の利便性を高めるが、それとともに安全性についても一定の担保が行われることにこしたことはない。(編集担当:久保田雄城)