無資格者の完成検査、何が問題?

2017年10月18日 06:14

画・無資格者の完成検査、何が問題?

日産自動車の無資格者による完成検査の問題は、国土交通省の車両登録への信頼性低下による問題に加えて、企業の法令遵守軽視も浮き彫りとなった。コンプライアンスを徹底しないことは企業そのものの命取りにもなりかねない。

 日産自動車<7201>が国内の全工場における「完成車検査」を無資格者が検査していたという問題が発覚した。大手自動車企業のひとつである日産自動車がこのような問題を起こしたことは日本国内でも大きな衝撃だったことは間違いない。しかし、この点について具体的に何が問題だったのかは明確な説明がないのが現状ではないだろうか。

 そもそも完成車検査とは、国土交通省が定める体制に基づいて行われるものである。国内で販売される自動車はその完成車検査を実施することで初めて登録可能となる。日産自動車の場合は、この完成車検査を無資格者が実施していたということで、国土交通省が定める体制で実施されていない、ということになる。もちろん「完成車」検査なので、この検査は完成した自動車に対して行われる検査である。自動車というものは様々な作業工程を経て完成するものなので、ここに至るまでに何度も検査やチェック項目があるはず。従って、自動車の性能そのものについては特に問題はない、と考えることもできる。

 しかし、この無資格者が検査をしたという点が問題なのは、ただ単に自動車の性能による問題ではない。完成車検査というのは先ほども説明したように、国土交通省の定める体制で行うことが義務づけられた検査である。自動車の生産は事前にメーカー側から国土交通省に申請を行い、それが受理されて初めて可能となる。完成車検査とは申請された内容に沿って生産されているかどうかを確認するための検査なのだ。だからこそ、無資格者が検査をしたという自動車については国土交通省にとっては登録可能な自動車ではない、という判断となり車両登録制度そのものの信頼性の低下にもつながる事態といえる。

 無資格者が完成車検査を行った自動車はおよそ120万台とされており、これらの自動車は国土交通省の定める体制での検査が行われていないとのことから再検査が必要となっている。次に考えてみたいのは、なぜこのような事態が起こってしまったのか、という点である。日産自動車の西川広人社長は記者会見で法令遵守の意識の低さが大きな原因と述べているが、果たしてそれだけが原因だろうか。日産自動車はこの問題が発覚する以前より生産台数が大幅に伸びていたが、それがかえって現場を圧迫見方もある。法令遵守の意識の低さに加えて、現場での人材確保の不備が今回の事態を招いた要因ではないだろうか。(編集担当:久保田雄城)