“選ばれる会社になる”ことを標榜するホームビルダー集団「JAHB net」

2018年07月15日 12:11

JAHB net

アキュラホームが主宰する日本最大級の工務店ネットワーク「ジャーブネット」が、都内で開催した「ジャーブネット全国大会」「シンポジウム」、今回で19回目となる。

 注文住宅を取り扱うアキュラホームの社長である宮沢俊哉氏が主宰する全国の工務店・ビルダーが加盟する日本最大級の工務店ネットワーク「ジャーブネット/JAHB net」が、東京都内で「ジャーブネット全国大会」「シンポジウム」を開催した。今回で19回目となる。

 宮沢俊哉氏は、中学卒業後に大工の道に入り、19歳で工務店を立ち上げて独立。その後「アキュラホーム」に名称変更、現在の注文住宅メーカーに成長した。そこで、宮沢氏は、注文住宅建設の画期的な“システム”を開発した。それが、過去の成功や失敗の経験をもとに、材料や工賃など最大2万項目のデータやノウハウを整理し、短時間で顧客の要望を反映させた見積書を作成できる「アキュラシステム」だ。

 このシステムは狙ったとおり「低価格で高品質な住宅」を実現、瞬く間に多くの顧客に受け入れられた。

 そして、アキュラホームは、1998年に工務店ネットワーク“アキュラネット”を主宰する。この地域密着型工務店のネットワークは2005年に「ジャーブネット」として生まれ変わらせ、大手ハウスメーカーなみのスケールメリットを発揮しながら、地域密着型のホームビルダー集団となる。

 そのジャーブネットが、2020 年開催の東京オリンピック&パラリンピックとその後を見据えた日本の家づくりのための課題と同組織のめざす役割を模索するのというのが、今回の全国大会の大きなテーマとなっていた。

 かつて、地域密着型の独立工務店は、年間数棟の注文住宅を受注できれば充分という時代があった。それが、ジャーブネットをスタートさせ10 年を経た2007年に1社当たりの平均で完工棟数14.6棟に成長。2017年には会員数が全国206社で、完工数22.3棟にまで増えた。

 宮沢氏によれば、「工務店1社が年間10棟の壁を突き抜けるのが、なかなか難しい」なかで、この数字は優秀といえる。しかも、完工棟数30棟以上を記録した会社は20社、前年比は126.6%に達した。

 同ネットでは、“理想とするホームビルダー像”として、「自己資本率40%以上」「営業利益率10%以上」「完工棟数30棟以上」「無借金経営」などを掲げる。が、既に10%ほどの会社がこの目標をクリアしているという。

 今回、全国大会に次いで行なわれた、「シンポジウム」では『多様化する価値観と暮らし方、新しい住まいの“かたち”を創造する』をテーマとし、人々の生活観が多様化するなかで、個々のニーズを具現化するために住まいに期待されることを、各方面の第一人者の研究紹介を交えて考察しした。

 東京大学大学院工学系研究科建築学専攻・特任教授の松村秀一氏による基調講演『「生き方」の場としての住まい=まちへ』と、MOUNT FUJI ARCHITECTS STUDIO主宰・建築家で芝浦工業大学建築学部建築学科教授の原田真宏氏の基調講演『とくべつであたりまえな家』を前段に、大阪ガス株式会社エネルギー・文化研究所主席研究員の加茂みどり氏とアキュラホーム常務執行役員の井草健二氏を交えてパネルディスカッションを実施した。

 ここで、ジャーブネット全国大会が掲げたミッション「日本の家づくりを変える」ための具体的な方策までは見出すところまで至らなかった。が、宮沢社長が示した「匠の心と先進技術を融合し、品質、デザイン、サービスなどすべての側面で価値ある家づくりを目指す」とした提言につながるように思えた。

 宮沢社長は、今後の消費税アップ、東京オリンピック&パラリンピック以降の景気の後退、超高齢化が本格化する2025年問題などを踏まえたうえで、「選ばれる会社になることで、乗り越えられる」として、「ジャーブネットは無闇に数を追わない、規模の大きさだけを求めない」方針を示した。

 ジャーブネット全国大会は来季、20回目の節目を迎え、2020年を期に組織の成熟期を迎えることになるのかも知れない。(編集担当:吉田恒)