日本社会における相対的貧困化が問題にされ始めてから久しい。現在日本のマクロ経済は世界経済の回復を背景に緩やかな回復基調にあるとされているものの個別に見ると生活苦による家計破綻のケースも増えているようだ。
総務省の家計調査報告書によれば、2人以上世帯の2017年における1世帯当たりの負債現在高は517万円で、前年に比べ10万円増加し、対前年比2.0%の増加となっている。さらに、40歳未満の世帯でみると負債現在高が貯蓄現在高を上回っており負債超過の状態になっているとされ、負債現在高が近年上昇を続けているようだ。
2日、コンサルタント業のHIROKENが自社の法律相談サイトの利用者926人を対象に「債務に関するアンケート調査」を実施した結果を公表した。
調査結果によれば、アンケートに答えた者の平均債務額は314万円で、金額ごとの内訳をみると「50万未満」が19.7%、「50万円以上100万円未満」が13.3%、「100万円以上200万円未満」25.9%、「200万円以上500万円未満」が28.7%、「500万円以上」が10.6%、「未回答」が1.8%となっており、「200万円以上500万円未満」が最も多く、「100万円以上500万円未満」で全体の54.6%を占めている。
負債の中身については、住宅ローンを含むものは17.8%のみで、82%の者は住宅ローン以外の負債のみである。借入件数を見ると、1件が21.2%、2件が22.8%、3件が24.0%、4件が31.9%、不明が0.2%となっており4件が最も多く、多重債務を抱える者が多数派という結果になっている。
借金の理由については、「生活費」が55.0%で最も多く、次いで「交際費」の10.0%、「ギャンブル」が8.5%、「住宅ローン」が7.0%、「学費」が4.0%、「買い物・ショッピング」が1.7%となっている。負債を抱えた理由では「生活費」と答えた者が半数を超え、「ギャンブル」は10%以下であり、負債の原因が生活苦によるものであることがうかがえる。
借金のことを誰かに相談したかという問いに対しては「未相談」が65.1%で圧倒的に多く、「家族」に相談している者は17.6%、さらに「専門家」に相談している者は7.9%で1割に満たない。
年齢別に見ると、「45歳-55歳」が27.9%と最も多く、次いで「35歳-45歳」が23.7%となっており、子育て世代で多い傾向があるようにも推測できる。
この調査結果からは多重債務の原因は生活資金の困難のようだ。政府の何らかの実態把握・対応が必要なのではないか。(編集担当:久保田雄城)