IR法案、ギャンブル依存防止策の欠陥を指摘

2018年07月19日 15:27

 社会民主党の福島みずほ副党首がツイッターで、自民・公明が成立を目指すカジノを含む統合型リゾート整備法案(IR法案)の問題点やギャンブル依存症対策の欠陥(業者にとっては規制の影響を受けない抜け穴になっている部分)を発信している。わかりやすいので紹介する。

 カジノを認める妥当性から。(1)なぜ民間が金儲けをするのに、賭博開帳罪、賭博罪が成立しないのか。どこに公益性があるのか。説明がつかない。

(2)観光振興というが、(利用者の)7割から8割は日本人という予測。政府説明によれば、日本にはノウハウがないので、外資系がやってくると。日本人からお金を吸い上げて、外資系に流れるという仕組み。

(3)貸金業法では年収の3分の1以下しか貸すことはできない。しかし、カジノ法案では制限はなく、事業者はバクチをする人に金を貸すことができる。土地なども担保にとれる。カジノ場で借金を重ね、身ぐるみはがれ、無一文になるということもありうる。

(4)外国人にカジノの事業者がお金を貸した場合、貸金の取り立て、回収はその人の本国で行われる。日本人であれば、日本で貸金の取り立てができるので、ターゲットは日本人になるのではないか。

(5)1週間に3回、24時間単位という規制をすることになっているが、月曜日の昼間の12時に行って、火曜日の昼間の12時までも1回である。2日間にまたがる。1週間に6日間入り浸ることも可能。

(6)カジノ実施法案は全国で3ヶ所までとする。しかし、手を挙げているところは多くあり、法律を変えれば、いくらでも増やすことができる。担当者にどこが現在動いているか聞くと、北海道、横浜、愛知、和歌山、大阪、長崎という回答。これからも増える可能性。

(7)カジノ場を作り、既存のホテルやテーマパークをIR事業場にすることもできる。

(8)カジノ場の広さは1万5000平方メートルを上限とするという基準はなくなった。カジノ場は全体の3%以下という基準。3%はカジノ場のテーブルと椅子、スロットマシンなどの機器の面積。カジノ場の飲食を提供する所、食べる所、演奏の場、受付、廊下、通路、エレベーターなどは入らない。

(9)IR事業者はギャンブル依存症の人が増えた方が儲かる仕組み。バクチ法案でギャンブル依存症は増えることはあっても減ることはない。ギャンブル依存症の人の話を聞いた。本人も辛い。家族も大変。多重債務者になったりする。離婚や自殺に追い込まれたりする。何のための法律だ。

(10)カジノ法案、バクチ法案ではなく、IR事業法案という人がいる。しかし、ポイントはバクチを合法化すること。会議場やホテルでは、新たな法律などいらない。バクチを合法化するために法律が必要なのだ。

 政府はIR法案の成立に国民の理解を得るには、福島氏が指摘するこれらの疑問に国会の場で答えることが必要だろう。(編集担当:森高龍二)