国土交通省は可搬式「ナンバー自動読取取得装置」、通称Nシステムを利用した取り締まりを本格的にスタートさせる。特に車検が切れたまま走っている「無保険車」の摘発に力を入れる構えで、事故発生時に被害者が保障を受けられないといった事態を防ぎたい考えだ。
国内では約8000万台の自動車が保有されているが、国土交通省の試算ではそのうちの約20万台が車検切れで公道を走っている。車検切れの車は往々にして自賠責保険にも未加入であり、当然任意保険に入っている可能性も低い。したがって事故を起こしても、被害者に対する保障がほとんど、あるいはまったく行えないことも少なくないのだ。こうした事態を想定して、自動車保険の中には無保険車傷害保険が用意されていることもある。車検の期限が切れているのを運転手が忘れているのは言語道断だが、さらに悪質なことに車検の通知をあえて無視している場合だ。車検切れで公道を走行した場合、交通違反点数6点、免許停止、6ヶ月以下の懲役もしくは30万円以下の罰金が課される。自賠責保険が切れている場合には交通違反点数6点、免許停止、1年以下の懲役もしくは50万円以下の罰金だ。当然車検切れ・無保険であればこの両方が課せられることとなる。
こうした悪質な車検切れを取り締まるために導入されたのが「ナンバー自動読取取得装置」、通称Nシステムだ。取締りに使用されるのは可搬式のNシステムで、カメラとパソコンで構成されている。カメラの前を車が走行すると瞬時にナンバーを読取り、車検切れの疑いのある車が見つかると警察官に知らされる仕組みだ。実際あるエリアでは2時間の取り締まりで1台の無保険車と1台の無登録車を摘発した。Nシステムによってより効率的に車検切れの自動車を摘発することができ、適切な点検・整備を促すとともに車検切れへのペナルティを周知して抑止力になることも期待できる。適切な運用によって地域の交通安全が向上することを期待したい。(編集担当:久保田雄城)