ビジネスホテルといえば、これまで低価格で泊まれる代わりに良いサービスは期待しないというのが一般的だった。しかし近年格安のホテルやビジネスホテルの比較サイトの誕生によって、ビジネスホテル同士の競争が激化しておりより良いサービスを提供するためにしのぎを削っている。
これまでビジネスホテルは宿泊するということに特化し、極力宿泊料金を抑えるというのが一般的な形だった。大手ホテルチェーンは人件費を削減し、設備を必要最低限に抑えることでより低価格なビジネスホテルを実現してきた。必要最低限といってもバスタブ付き、Wi-Fi環境、無料もしくは有料の朝食などは提供されることが多い。一方で利益率を引き下げるレストランや宴会場を設置せず、より多くの客室を作ることでより低価格にすることが可能だ。
しかしこうしたローコスト戦略が徐々に変わりつつある。大手ホテルチェーン「ホテルルートイン」は近年都市部や駅の近くへの出店に力を入れており、客室を豪華にしたりインテリアにこだわったりとハイクラスへの転身を試みている。さらにビジネスホテルによってはビールやワインといった酒類を無料で提供し、客室内の冷蔵庫にあるドリンクも無料にするといった新たなサービスを提供している。ビジネスホテルも安いだけでなく、より高度なオプションのサービスを無料で提供することが顧客獲得につながっているのだ。他にもマッサージチェア、おしゃれなバー、夕食の無料提供などユニークかつ顧客にとってうれしいサービスが次々と生み出されている。
こうしたサービスをビジネスホテルが提供するためにはかなりのコストがかかるように思えるが、高コストを稼働率の高さでカバーしている。空室を減らすことでより質の高いサービスを無料で提供でき、顧客満足度も高まるというわけだ。ビジネスホテル同士の競争が激化していく中で、次回泊まるホテルがどんなお得なサービスを提供してくれるのかに注目したい。(編集担当:久保田雄城)