GfKが「2018年グローバルの家電販売動向」を調査。18年世界の家電販売額は前年比4%増の約1兆100億ユーロ、史上最高。牽引役はテレコム、生活家電、AV等で7%成長。APACが42%でシェア最大。
このところ中国をはじめアジア経済の減速が伝えられている。消費税増税、オリンピックを控える日本にとって懸念材料の一つであることは間違いない。しかし、減速と言っても4~6%の成長を維持しており、長期トレンドでみればアジアの成長力には未だ強いものがある。しかもアジア経済は日本の1970年代のような産業型社会から高度消費社会へと消費が成長を牽引する経済に移行している兆しが見られる。
18日、ドイツに本社を置くグローバル市場調査企業のGfKが2018年における「グローバルの家電販売動向」の集計結果を公表した。2018年の世界の家電販売額は約1兆100億ユーロ(約137兆円)、前年比で4%の増加となり、1兆ユーロを超え史上最高を記録した。特に多くの製品カテゴリにおいて高価格帯の伸びが大きく世界の消費の強さを表している。
販売額を地域別にみると、太平洋側アジアと豪州を中心とするAPACが42%と最も大きなシェアを占め、次いでヨーロッパが25%、北米が20%、中南米が7%、中東・トルコ・アフリカが6%となっており、アジア地域が消費の中心となり世界経済を牽引していることを示している。
製品別に見ると、成長をけん引しているのはテレコム、小型生活家電、AV・イメージング機器で、販売額の前年比が6~7%を上回る高い伸びとなっている。テレコム市場は前年比7%増の高い伸びで全体の44%を占めている。スマートフォンが台数ベースでは成長が鈍化しているものの、高価格帯の販売が好調で、ヨーロッパでは14%、北米では12%と2桁の高い伸びを記録している。
シェア17%の大型生活家電は販売額で1%の減少となったもののカメラを内蔵しスマホで内部が確認できる冷蔵庫など新しい機能を持った製品ではプラスの伸びが見られる。IT・オフィス製品は16%のシェアを持ち前年比1%の増加となった。オフィス関連は中国を中心とするAPECで前年比3%の伸びとなっている。AV・イメージング関連は15%シェアで前年比16%の伸び。このうちの4分の3がテレビで、その半数以上が大画面テレビとなっている。小型生活家電のシェアは8%で販売額の伸びは7%。コードレス掃除機など利便性の高い製品の需要が高まり、特に中国での成長が顕著でAPAC全体では13%増の大幅な成長を記録している。
日本国内では未だ消費の足踏み状態が続いているが、こうしたAPEC諸国の外需に牽引され国内消費も回復することを期待する。(編集担当:久保田雄城)