太陽光発電「2019年問題」を解決。積水ハウスが一石二鳥の新サービス開始

2019年02月03日 11:28

太陽光 (1)

自社物件の「卒FIT」オーナーに向けて電力買取を行い、自社の事業用電力に活用する「積水ハウスオーナーでんき」

 2019年11月から、再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT制度)の買取期間が順次終了を迎え始める、いわゆる太陽光発電の「2019年問題」だ。

 再生可能エネルギーを一定価格で一定期間買い取ってくれる「FIT制度」が開始されたのは2009年。環境にやさしく、家計も節約でき、さらには売電で副収入も見込めるとあって、家庭用太陽光発電設備の普及は一気に加速した。10kW未満の家庭用太陽光発電の電力買取期間は10年間で、買取期間終了後は、各家庭において余剰電力の取扱いを新たに検討していく必要がある。

 この問題に対し、現在のところ、卒FIT後の買取価格や具体的なプランを明示しているところはまだ少ないのが現状だ。これでは不安が募るばかりだ。

 そんな中、住宅メーカー大手が動きを見せた。1月31日、積水ハウスは同社住宅の「卒FIT」オーナーから、太陽光発電の余剰電力を買取る「積水ハウスオーナーでんき」を開始すると発表。サービス開始当初の電力買取単価は11円/kWh。3月1日から事前申込み受付を始め、11月より事業をスタートする。買取った電力を自社グループ内で活用し、100%再生可能エネルギー化する「RE100」達成を目指すという。

 積水ハウスは、中間目標として、2030年までに事業活動で消費する電力の50%を再生可能エネルギーで賄い、2040年までに100%再生可能エネルギー化して「RE100」達成を目指している。

 同社は、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)の供給で最多などの実績があり、これまでに手掛けた戸建住宅や賃貸住宅などに設置されている太陽光発電システムの年間の総発電量は約700GWhに上る。同社グループ全体の事業用電力は年間約120GWhなので、「積水ハウスオーナーでんき」で、これらの約2~3割の卒FIT電力を買取れば、充分に賄うことができるという。2019年問題に直面する顧客の不安解消し、満足度を高めるとともに、自社の環境対策にも役立てる一石二鳥のサービスといえるだろう。

 今後、公表されていくであろう、各社の買取価格や具体的なプランの動向にも注目だ。(編集担当:藤原伊織)