東京商工リサーチが2017年「電力事業者」の新設法人調査結果を発表。2017年新設の電力事業者は1988社で前年比11.2%増、3年ぶりの増加。「風力」36.0%増、「バイオ」52.4%増で大幅な増加。
世界的な異常気象が続いている。ヒートウエイブが世界各地を襲い、様々な被害を発生させている。日本でも先月7月、西日本での記録的な豪雨によって広域的な被害が生じ、現在でもかつて経験したことのない猛暑が続いている。
こうした異常気象は当然、産業活動に伴うCO2排出による地球温暖化と関連づけられる。2015年国連はSDGs(持続可能な開発目標)として17項目の目標を掲げているが、その中には「気象変動に具体的対策を」が国連加盟国の解決すべき目標として含まれている。
日本では原発の再稼働について意見を二分しているが、その一方で太陽光やソーラーなど環境にやさしいエネルギーの開発にも努力が注がれている。
今月6日、東京商工リサーチが2017年中に新設された「電力事業者」調査の結果を公表している。調査結果によれば、17年中に新たに設立された電力事業者の数は1988社で前年比11.2%の増加となり、新設された法人全体の前年比3.1%を大幅に上回った。
電力事業者の新設は14年に3277社とピークになった後、15年には2185社、16年には1787社と減少傾向で推移してきたが、今回3年ぶりに増加に転じた。
新設された電気事業者の利用エネルギーについてみると、「太陽光」、「ソーラー」が1146社で最も多く、前年比は8.6%の増加となっている。「太陽光」と「ソーラー」の増加は3年ぶりの増加で、2015年から2年連続の減少に歯止めがかかったが、増加率は1ケタ台であり底打ちレベルにとどまっている。
これに対し「風力」によるものは321社で36.0%の増加、「バイオ」が186社で52.4%の増加となっており、この2つの分野は未だ絶対数は少ないものの大きな伸び率を示している。
この傾向についてレポートでは、太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスの再生可能エネルギーのうち、「太陽光」の固定価格買取価格が下落基調で推移しているため、相対的に太陽光以外のエネルギーに注目が高まっていることが背景にあるのではないかと見ている。ただし、立地条件や設置コストなどの制約があるため、「太陽光」、「ソーラー」レベルの設立数には至っていない。
原発を再稼働させるか否かにかかわらず安全で環境にやさしいエネルギーの開発・普及は必須である。現段階では様々な技術的、コスト的制約があるが引き続き事業者の企業努力に期待したい。(編集担当:久保田雄城)