西日本電信電話会社(NTT西日本)とNTTスマイルエナジーは、日産自動車と協業し、電気自動車(EV)を活用した自動車とビルの間で電力相互供給する技術やシステムであるV2B(vehicle to building)によるオフィスビルでのエネルギーコスト・CO2削減トライアルを2018年12月1日から開始し、2020年3月31日まで検証を行なうと発表した。
このトライアルを開始する背景には、パリ協定を契機として、CO2削減が世界の大きな潮流となっており、企業や自治体において、事業運営を100%再生可能エネルギーにより行なうことを掲げる企業が加盟する国際イニシアチブ「RE100」や環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の頭文字を取り、企業が中長期的な成長をめざすためにこれら3つの視点が重要であるという考え方「ESG」の観点から再生可能エネルギーの利用価値が高まっている。それに伴い、CO2排出量の多い内燃機関を動力とする自動車からEVへのシフトが加速しており、NTTグループも電気自動車の使用や環境整備促進を目指す国際ビジネスイニシアチブ「EV100」に加盟し、保有している一般車両を2030年までに100%EV化することを宣言している。
今回のトライアルでは、太陽光発電システムに加え、V2BによりオフィスビルとEVでの電力相互供給をICT(IoT、AI)で最適に制御し、エネルギーコスト削減やCO2削減などの有効性を検証する。また、EVの遠隔制御は、賢い(低コスト、低CO2、ユーザー利便性が高い)クラウド機能として開発し、将来的には定置型蓄電池の活用についても検証実施予定だ。
当面の検証場所は、NTT西日本山口支店。検証環境としてV2B(3台)、日産の最新EVリーフ(3台)、太陽光発電システム(16.5kW)を予定する。検証期間は冒頭に記したとおり2018年12月1日~2020年3月31日となる。
具体的な検証方法は、太陽光発電システムで発電した電気をオフィスビルで自家消費しつつ、発電量、電力使用量、EV使用状況に応じて、クラウドからEVや定置型蓄電池を遠隔制御(充放電)し、EV利用ユーザーの利便性を損なうことなく、エネルギーコストやCO2排出量をいかに削減できるかを検証。また、エネルギーコスト削減・デマンドレスポンスなどのエネルギーサービスの検証は、電力小売電気事業者である株式会社エネットと連携し効果の測定・分析を実施する。
今後は、環境推進に取組む自治体、企業と意見交換を行ない、検証内容を随時見直しながら進めて実施。実証結果を踏まえ、改善を行ない、NTTグループのEV100やEP100をより効果的に実現するための取組みとして、全国へ展開していくとした。(編集担当:吉田恒)