ワークライフバランスの実現は働き方改革の目標の一つだ。これは主に出産・育児によって女性のキャリアが中断したり、介護のための離職によって人材を失ったりしないよう未然に防止するのも狙いだ。
ワークライフバランスの実現を働き方改革の中で具体的に推し進める方法としてはテレワークやフレックスによる柔軟な勤務形態の導入が提唱されており、既にこれらの制度を導入している企業も大企業を中心に少なからず存在するようだ。しかし、従業員によるこれらの制度の利用状況は芳しくないという調査も出ている。
従業員が望む働き方とはどのようなものだろうか。これに関し健康関連サービス業のベンチャーバンクが1都3県に在住の20~59歳の男女1万219名を対象に「働き方についての調査」をWebアンケ―トとして2月下旬に実施、その結果を3月下旬に公表している。
「理想的な働き方をするために重要なものは何か」という問いに対しては、「心身の健康」との回答が71.7%で最も多く、次いで「十分な報酬」が71.3%、3位は「職場での良好な人間関係」68.3%という順になっている。
一方、「テレワークやフレックスなど柔軟な勤務形態」を重要だと答えた者の割合は32.3%、全11項目中で最下位となり「柔軟な勤務形態」を重視しているものは少数派のようだ。しかし、「必要なときに休暇を取得できる風土や環境」が64.7%、「自由に使える時間」が64.0%と6割を越えており、ワークライフバランスを軽視しているわけでもなさそうだ。
「仕事に限定せずに今欲しいものが何か」と質問した結果では、「十分な報酬」が32.5%と最も多く、次いで「心身の健康」16.3%、「自由に使える時間」12.7%という順になっている。一方、「テレワークやフレックスなど柔軟な勤務形態」を選択したのは2.9%のみだった。業種別に見ると、全体として大きな差は見られないが、「テレワークやフレックスなど柔軟な勤務形態」と答えた者の割合が金融業で4.7%、卸売り・小売業、IT業で3.7%と全業種平均と比べ高くなっている。
業種や職種によって働き方は様々であろうから一概には言えないものの、「柔軟な勤務形態」に期待している者は少数派なようだ。だからといってワークライフバランスを軽視しているわけではなく、ワークライフバランスの実現に関しては休暇取得制度の充実や環境の変化に多くの期待を寄せているようである。(編集担当:久保田雄城)