日本は今、深刻な人手不足の状態にある。生産年齢人口が減少することは以前より人口統計から予測されていたものでもあり、安倍内閣においても一億総活躍社会として女性、障がい者、高齢者なども参加しやすい社会の実現を図っている。
多様性の問題は労働市場での需給の問題とは別であるとは言うものの、人材確保の困難さが多様性を考慮した働き安い職場実現に向けての企業努力を加速させているのも事実であろう。
エン・ジャパンが自社サイトを利用している企業563社を対象に「ダイバシティ(多様性)推進」についてのアンケート調査を実施し、その結果を11月下旬に公表した。
ダイバシティ推進の取り組み状況については、「実施している」は32%、「実施していない」が59%となっており、実施しているのは3分の1以下で約6割の企業が実施していないようだ。
業種別に見ると、「広告・出版・マスコミ関連」で「実施している」が50%と最も多く、次いで「メーカー」の42%となっている。企業規模別では「1000名以上」で58%と約6割の企業が「実施している」と回答しているのに対して、「100~999名」では36%、「1~99名」では26%と規模が小さくなるにつれ実施率は低下している。
ダイバシティ推進を行う理由については、「優秀な人材を確保するため」が58%で最も多く、次いで「働き安い職場にするため」が52%、「多様化する市場に対応するため」49%が多くなっている。
推進を行っていると回答した企業に具体的な取り組みの内容を複数回答で答えてもらったところ、「多様性のある人材の採用」が77%で最も多く、その他「多様性のある雇用形態・就業規則」が31%、「多様性のある組織配属」29%、「多様性のある働き方(テレワークなど)」28%などとなっている。
「多様性のある人材の採用」と回答した企業にその具体的内容を複数回答で答えてもらった結果では、「女性」が79%、「外国人」が50%、「障がい者」46%、「時短」38%、「高齢者」34%、「LGBT」12%、「その他」1%という結果であった。
「推進に関しての悩み」について自由記述欄をみると、「ダイバシティという概念がまだ普及していない」、「インフラ整備も必要な場合があり人事担当だけでは推進できない」、「経営層が高齢で理解を得られない」などが目立つ。(編集担当:久保田雄城)