間もなく終わりを迎えようとしている2011年。製薬業界において今年は、各社が海外に注力する年だったように思われる。第一三共は、連結子会社であるインドの「ランバクシー・ラボラトリーズ」が、第一三共が創製したいくつかの製品をシンガポールにおいて3月より販売することになった。さらに同じ3月に、同社グループの癌事業強化の一環として、米国・カリフォルニア州にある非上場企業「Plexxikon」の全株式も取得している。8月には、同社と「ランバクシー・ラボラトリーズ」が、メキシコにおける事業連携について、イノベーティブ医薬品事業ならびにエスタブリッシュト医薬品事業を両輪とするハイブリッドビジネスを本格展開していく体制を構築したことを発表。11月には、100%出資の中国子会社として「第一三共(中国)投資有限公司」を上海市に設立している。
アステラス製薬は、2月にオーストラリアに医薬品販売子会社を設立。3月には、スロベニア共和国に南東ヨーロッパ諸国における医薬品事業を統括する販売子会社を設立した。さらに7月には、米国・カリフォルニア州の医薬品会社「バイカル」と、同社が創製、開発している移植時のサイトメガロウイルス血症予防ワクチン「トランスバックス)」について、全世界における開発・商業化に関する独占的ライセンス契約を締結した。
さらに大塚製薬は、子会社であるフランスの「ニュートリション エ サンテ」を通じ、欧州4ヵ国(フランス、ベルギー、イタリア、スペイン)にて、ニュートラシューティカルズ事業(以下:NC事業)の一環として日本発製品の第一弾となる「SOYJOY」の販売を2月より開始した。医療関連事業とNC事業を2大事業とする大塚グループにとって、NC事業における欧州展開は、グローバル化を推し進める上で重要な課題の一つであった。さらに11月には、デンマークの「H.ルンドベックA/S」との間で、中枢領域におけるグローバル・アライアンス契約を締結。両社は、中枢神経疾患を対象にした最大5つの化合物の研究、開発、商業化にむけ、長期にわたるグローバルな協力体制を構築することを発表している。
一方、ロート製薬は人気スキンケアブランド「肌研(ハダラボ)」をはじめとしたビューティー関連品がアジア地域で好調を続けるなど、同社の成長を牽引している。ほかに日焼け止めや男性用スキンケア、目薬など広域な商品群が好調に推移しており、中国をはじめ台湾やインドネシアなど、アジア全域で好調であり、第2四半期決算では連結の営業利益の21%を占めるまでに成長。第2四半期でも、引き続き好調であったこともあり、大幅な増収となっている。