米BIG3の一角、フォード・モーターは20日、8月までに7000人の従業員を削減すると発表した。工場の労働者ではなく、ホワイトカラーが対象で、世界の同従業員の10%に相当する人員削減だ。米中の貿易摩擦や、アメリカが輸入する自動車への関税などさまざまな問題がある中で、一段のコスト削減をはかり、構造改革を急ピッチで進める。このリストラを含めて年間で6億ドル(約660億円)のコストを削減する計画だ。
米メディアによると、米国での削減数は約2300人で、残りは国外で実施するという。フォードの1~3月期の連結決算は純利益が前年同期比34%減と低迷。中国販売が半減と大きく落ち込んだことが影響し、グローバル販売台数は14%減だった。
米自動車ディーラー協会(NADA)は19年の市場を前年比約2%減の1680万台と予測している。頼みの北米市場は個人消費の底堅さから高水準の台数を維持しているが、大きな伸びは期待できない。米中貿易摩擦も影を落とす。
電気自動車(EV)や自動運転車、MaaS(Mobility as a service)の開発など、新分野での投資が不可欠だ。フォードは4月、新興電気自動車(EV)メーカーへ5億ドル出資することを決めるなど、経営資源の集中と選択を急いでいる。
BIG3のリストラではゼネラル・モーターズ(GM)が先行しており、昨年年11月に北米5工場を含む世界7工場の閉鎖を発表した。(編集担当:吉田恒)