社会保障、能力による負担の範囲拡大を 自民

2019年05月23日 06:25

 自民党の人生100年時代戦略本部は人生100年時代の社会保障改革ビジョンをまとめ、21日、安倍晋三総理に手渡した。現在の高齢者は過去の高齢者に比べ肉体的にも精神的にも元気な人が増加し、年齢を基準に高齢者を一括りにすることは現実に合わない、とし「年齢の壁をこえて、高齢者・現役世代の捉え方を見直し、エイジフリーで活躍できる環境整備が必要だ」としている。

 そのため「大きなリスクは公助・共助、小さなリスクは自助の原則を徹底していく必要がある」とし、「学びも仕事も老後も年齢で決められるものではなく、1人1人が自由に選べる未来を実現し、エイジフリーで個人が活躍できる経済社会をつくる」とし「社会保障も特定の生き方や働き方が不利にならない『選択を支える社会保障』をめざす」としている。

 ビジョンは「全世代型社会保障制度をすべての世代が公平に支えあうために、今後は年齢でなく負担能力(所得と資産)により負担の在り方を決める範囲を拡大すべき」と提言している。

 具体的には雇用形態を問わず、企業に働く人は社会保険に加入できるよう「勤労者皆社会保険」に。また就労を阻害する「130万円の壁」「106万円の壁」や業種、企業規模による壁を打破する。

 年金受給時期を自分で選択できる範囲を拡大する。労働法制での兼業・副業の位置づけを明確化し、多様で柔軟な働き方を推進する。医療費などの負担について「年齢で一律に負担水準に差をつけるのではなく、負担能力(所得と資産)に着目し負担割合を決める範囲を拡大することの検討が必要。

 ビジョンでは「実現に向け、秋以降、政府・与党が協力し国民的議論を開始すべき」としている。(編集担当:森高龍二)