日本のエンジニアに対する企業からの価値評価は低いと言われ続けてきた。グローバル化とICT化が進展し、世界的に労働市場が流動化する中、エンジニアに対する価値評価の低さは人材流出と行った観点からも以前にも増して問題視されている。
5月上旬、人材サービスのタイズが2019年夏のボーナスについてメーカーに勤務する20~30代のエンジニア2070名を対象に調査を実施、5月末にその集計結果を公表している。
調査結果によると、「今年の夏、ボーナスの支給はありそうか」について聞いた事前調査では77.2%の者が「あると思う」と回答している。例年のボーナスに対する満足度については、「満足している」と回答した者の割合は全体のわずか24%にすぎず、残りの76%、4人に3人は「満足していない」ことになる。
今年19年夏のボーナスについて予想を聞いたところ「増額」を見込んでいた者の割合は23%で、その予想金額の平均は63.1万円であった。もし自分で査定しボーナスの額を決めるとしたらいくらになるかと聞いた結果では7割超の者が90万円以上~100万円未満と回答しており、例年の経験からの予想金額と自己査定した理想金額とのギャップは29.4万円となり約30万円、企業側と自己評価には差があるようだ。これに関しては「技術職は専門的な知識やスキルを必要とされる分、専門職手当分として本当はこれくらいもらっても良いと思っている」といった意見もみられた。
ボーナスの使い途について尋ねた結果では、6割近い58.1%との者が「貯蓄」と答えており、ボーナスのうち何割を「貯蓄」に回すのかを聞いた結果、その平均割合は約7割の66.7%であった。
未婚・既婚別にボーナスの使い方を見ると、未婚者では「貯蓄」53.3%で最も多く、次いで「投資」の14.3%となっている。一方、既婚者では「貯蓄」が62.6%、「投資」が5.3%となっており、既婚者の方が未婚者より貯蓄に回す割合が多くなっている。既婚者の「貯蓄」と「投資」を合計すると67.9%で、約7割を資産形成のために充てていることになる。
調査結果を見る限り日本のエンジニアは自分のキャリアに関心を持ち自己評価が高いとともにライフプランを考えた資産形成を堅実に行っている。世界的に人材が流動化する中で、エンジニアの適切な価値評価を行わなければ、今後実際に人材の流出は起こり得ると考えて良いであろう。(編集担当:久保田雄城)