トヨタ、2017年発表の電動化計画5年前倒し、グループで開発が進む電動関連技術

2019年06月16日 10:39

Toyota New EV Plan

トヨタが、2020年に日本市場向けに発売する2人乗りの超小型EV

 トヨタは6月上旬に自動車電動化に向けた説明会を開催した。ほかにもさまざまな関連情報が伝わってくる。それらをまとめると、トヨタは2017年12月に発表した電動化計画を5年前倒して達成する。

 トヨタの2017年12月の電動化計画では、世界で販売するクルマの約半数、台数で約550万台を、2030年までに電動車両にするとしていた。内容はハイブリッド車(HV)とプラグインハイブリッド車(PHV)の合計で約450万台、完全なZEV(Zero Emission Vehicle)であるピュア電気自動車(EV)と燃料電池車(FCV)の合計が約100万台だった。これを2025年に達成するというものだ。

 この計画達成に向けてトヨタは今後、新たな取り組みを進める。まず、世界で販売するEVに専用の開発手法を適用し、開発・生産効率を高める。そして、高効率で長寿命のリチウムイオン電池を、世界規模で安定的に調達する体制を作る。加えて、日本市場に向けて超小型EVを投入するとしたのである。

 EV専用の開発手法「e-TNGA」は、トヨタの「TNGA」の電動車両版で, SUBARUと共同で開発している。e-TNGAで開発するのは、中型以上のC~DセグメントのEVで、いずれもグローバル市場を対象としたEVだ。が、当初はEVの販売台数が現時点では相対的に多くなると思われる中国、米国、欧州から投入していく。
 これらの国や地域は、燃費、CO2排出量やZEVに関する厳しい環境規制が存在しており、国策などでEVに対する優遇策があり、EV普及を促す規制・優遇策面が充実しているからだ。

 「e-TNGA」による専用プラットフォームを適用してSUBARUと開発する具体的な車両は、「中型セダン」「大型SUV」「中型SUV」「中型ミニバン」などを想定。モーターの搭載位置を変えることで、前輪駆動、後輪駆動、全輪駆動(AWD)のいずれにも対応可能だという。コンパクトEVは、スズキ、ダイハツと共同企画する。

 長寿命のリチウムイオン電池の安定供給おいて、トヨタの電池のパートナーとして、プライムアースEVエナジーを設立。さらに、既報のとおり、パナソニックと共同で新会社を準備している。また、提携するメーカーも増やす。具体的には、中国CATL(寧徳時代新能源科技)や東芝、GSユアサと新たに提携したという。

 第3の取り組みの日本市場に投入する超小型EVは、軽自動車より小さい車両になる。第1弾の車両をオリンピック&パラリンピックに向けて、2020年に発売する。これは2人乗りの車両で、航続距離約100km、最高速度は60km/hになる模様だ。さらに、二輪車に近い大きさの1~2人乗りの車両や、トヨタが「歩行領域」と呼ぶ立ち乗り型・座り乗り型の低速車の開発も進めている。立ち乗り型の車両は2020年に、座り乗り型の車両は2021年に発売する予定だ。

 トヨタは自動車会社からモビリティーカンパニーへの変革に向けて、新しいビジネスモデルの構築など体制作りを着々と進めてきた。今後も社会への貢献を視野に、これまでより幅広くオープンに協働事業者を募り、この取り組みを加速させていくとしている。(編集担当:吉田恒)