マネックス証券が「米中貿易摩擦が投資意欲に与える影響」に関し調査。個人投資家の8割が米中貿易摩擦は世界経済に悪影響と予測。相場観は日本株DIが28pt低下、中国DI29pt低下、米国DI16pt上昇。
5月連休明けから日経平均が続落し、今もなお4月の水準には回復していない。この下落の背景には米中貿易摩擦の影響で米国株と中国株の下落が起こり米中関係の悪化が長期化するという見通しが更にこくなったためと言われている。
財務省の貿易統計を見ると昨年末から輸出の減少が続いている。地域別に見ると米国向けでは増加であるものの中国を中心とするアジア向けでは大幅な減少となっており、特に米中貿易摩擦でターゲットとなっている半導体製造装置など生産用機械での出荷が激減している。米中貿易摩擦は対米貿易では日本にはチャンスという声も聞かれるが、それ以上に中国の失速に影響されたアジア全体での減速を考慮するとやはりトータルではマイナスに作用しているようだ。
これに関しマネックス証券が5月下旬から6月上旬にかけて自社の顧客を対象に個人投資家の相場観の調査の一環として「米中貿易摩擦が投資意欲に与える影響」について特別調査を実施し、同19日にその集計結果を公表している。
「米中貿易摩擦の世界経済に与える影響」に関しては、「悪影響、成長が鈍化して行く」と回答した個人投資家の割合は77.4%で8割近い投資家が「悪影響で成長鈍化」と予測しているようだ。「貿易摩擦の決着の見通し」については「決着せず長期化する」との回答が52.5%と半数超えが長期化と予測、「わからない」の14.1%を含めると7割近くが不確実性の増大を予測している。
個人投資家の今後3カ月の株価予想を「上昇する」と答えた割合から「下落する」と答えた割合を差し引いた株価DIで見ると、米国株DIは前回の3月調査の9から25へと上昇している一方で、日本株DIでは前回9から今回のマイナス19と28ポイントも低下、中国株DIでは前回のマイナス26から今回のマイナス55と29ポイントの大幅な低下となっている。
日本株にたいする投資意欲を「日本株売買頻度のDI」でみると、前回の3月調査の19から今回調査の8へと11ポイント低下しており、昨年秋からの低下傾向が持続している。「投資金額のDI」も10ポイント低下、「保有銘柄数DI」も10ポイント低下と個人投資家の投資意欲は全面的に低下傾向で推移しているようだ。
マネックス証券マーケット・アナリスト益嶋裕氏は「米中貿易摩擦の解決の糸口がなかなか見えない中で、個人投資家の不安心理の高まりや投資意欲の低下が顕著に現れた調査結果となった」とコメントしている。(編集担当:久保田雄城)