女性職員の避難呼びかけは祖国護るためだった?

2019年07月05日 06:52

 安倍晋三総理が東日本大震災で宮城県南三陸町の女性職員が自らの命を懸けマイクを握り続け、町民らに避難を呼びかけ、津波にのまれた事案を取り上げ「彼女が教えてくれたことは損得を超えた価値がある。損得を超えた価値とは『かけがえのない祖国を護るため』であります」などと、この女性職員が祖国を護るためにとった行動だったと、教育基本法改正の話の中で震災翌年の会合で語っていたことが、youtubeにアップされている画像で分かった。

 この中で安倍総理は「新しい教育基本法には目標をあたらしく書き込んだ。その中には道徳心を書いた。伝統や文化を尊重することも書き込んだ。そして、愛国心を書き込んだ。おととし小学校の教科書が採択された。新しい教科書は新しい精神に則って書かれたといってもいいと思う。学校において国のために命を懸けるやつなんか馬鹿だ、と平気で教える先生たちがいた」などと新しい教育基本法で愛国心教育を進める考えを強調していた。

 文部科学行政事務方トップだった前川喜平・前文部科学事務次官は4日のツイッターで「『教育基本法を改正し教育の目標として愛国心を書き込んだ』『国のために命を懸ける』『かけがえのない祖国を護る』とアベ首相。人の命より国が大事という考え方」と安倍総理の全体主義に通じる思想に危機感を示し「南三陸町の女性職員は命を守ろうとしたんだ。国を護ろうとしたんじゃない」と端的に指摘した。

 ツイッターでは、この動画に「わざわざ教える愛国心って、それは教えでなく洗脳ですよね。70年前の戦争で愛国心に洗脳され、国に利用されて多くの人が死んだのに。せめて小さな子供を持つ親世代にこの動画を見て欲しいですね」との意見。

 「教育の暴走が全体主義の特徴。旧ソ連も、ナチス・ドイツも、北朝鮮も、大日本帝国も、人間を変える教育に熱心。安倍政権 が歴代政権のなかでもきわめて 教育熱心であるのも、全体主義をめざす政治集団の特徴と考えることができる」などの意見が寄せられていた。(編集担当:森高龍二)