東京一極集中は緩和されるどころか加速しているようだ。地方の人口減少、衰退それ自体が商業や医療、公共交通など地方都市の利便性を低下させ地方の人口流出に拍車をかけ東京圏を中心とする大都市部への人口移動を加速させている。
こうした状況の中で一部に地方分散の動きも見られるようになってきたようだ。先月、トヨタグループの不動産情報サービス企業のタスが「東京圏に一極集中する日本人、分散する外国人」というレポートを発表している。
先月30日、タスは「賃貸住宅市場レポート、首都圏版・関西圏・中京圏・福岡県版、2019年8月」を公表、この中で総務省の「住民基本台帳人口移動報告、2018年結果」のデータをもとに日本人と外国人を分けて都道府県別の人口流入・流出の状況を分析している。
レポートによれば、日本人と外国人を合わせた人口移動で18年に転入超過となった都府県は東京、埼玉、神奈川、千葉、愛知、福岡、大阪、滋賀の8都府県のみとなっている。転入超過総人数14万8666人のうち東京圏(埼玉、千葉、東京、神奈川)の占める割合は約94%の13万9868人で、なかでも東京都は7万9844人と53%を占め、うち76%が東京23区だ。
三大都市圏(東京圏、名古屋圏、大阪圏)で比較すると名古屋圏が7376人の転出超過、大阪圏が9438人の転出超過となっており、広域圏で見ると東京圏の一人勝ちとなっている。
一方、これを外国人のみに限って見てみると様相が変わってくる。外国人のみで転入超過となっている都道府県は29都道府県にのぼり、興味深いのはトータルで転入超過である千葉県(約5000人)と東京都、大阪、福岡(それぞれ約3000人)など東京圏や大都市部で転出超過となっており、外国人が地方に分散している様子がうかがえる。
19年1月現在で見ると、日本の人口は過去5年で99万4450人減少している。日本人と外国人の内訳を見ると、日本人が165万8270人の減少、外国人が66万3820人の増加で日本人の減少を外国人の増加で補っているかたちだ。今後もますます外国人の増加が予測され、その中で地方への人口分散も増加していくと期待できる。
レポートでは「東京圏に一極集中している日本人に対し外国人は分散傾向にあり、政府が目指している人口の地方分散に外国人が一役買っている」と指摘している。(編集担当:久保田雄城)