個人情報の規制強化。標的顧客減少の懸念7割。人材不足で対応困難

2019年11月13日 06:53

画・個人情報の規制強化。標的顧客減少の懸念7割。人材不足で対応困難。

サイカが「個人情報保護の規制強化への対応実態調査」を実施

 AIやビッグデータの登場でマーケティングの世界も大きく変わりつつありターゲット顧客に対する訴求もより精緻で効果的なものが構築可能となってきている。その一方で消費者の個人情報に関する不安感も強くなってきているようだ。

 2018年には欧州連合でGDPR(一般データ保護規則)が施行され、米国カリフォルニア州では消費者プライバシー法が成立するなど個人情報保護に関する規制強化は世界的な流れのようだ。日本においても10月には公正取引委員会がCookieの利用に対する規制の検討に入ったと報じられ、20年には個人情報保護法の改正が成立する見込みであるなど国内でも規制強化の動きが強まっている模様だ。

 IT・マーケティング業のサイカが10月に企業の広告宣伝担当者200名を対象にインターネット上で「個人情報保護の規制強化への対応実態調査」を実施し、8日にその集計結果を公表した。

 レポートによれば、個人情報保護の規制強化の動きで自身の業務に「現在影響が出ている」と回答した者の割合は48.1%、「今後影響が出る可能性がある」は48.1%で、両者を合計すると96.2%となり、個人情報保護の規制強化に関心を持っている企業のほとんどが「業務に影響する課題」として認知しているようだ。

 対応状況に関しては、「対応が全て完了している」は4.5%と5%未満にとどまり、一方「全く対応できていない」は23.4%と4分の1近く存在し、「対応の多くが残っている」は50.6%で半数、この2つを合わせると7割を超え、規制強化に対応する必要に迫られながらも実行できていない状況のようだ。

 対応する上での障害としては「人員の不足」が71.4%で断トツに多く、次いで「技術的な知見の不足」55.2%、「資金の不足」53.2%の順であった。量と知識の両面において人材不足が対応の遅れの背景となっているようだ。

 対応の内容としては「ターゲティングできる対象が減少することへの対策」が66.2%で約7割と最も多く、またデータの取得・管理に関する課題としては「個人情報の取得・利用についてユーザーから明示的な同意を得る仕組みの整備」42.2%が最多となっている。

 対応方針としては「今後も個人データの取得を維持」が49.3%、「統計分析などの技術を用いてデータ全体の傾向を把握」42.4%の二つに分かれた。(編集担当:久保田雄城)