毎年1月に開催されている、世界最大級のエレクトロニクス見本市「CES2020」が、今年も 1月7日から10日の4日間にわたって、アメリカのネバタ州ラスベガスで開催された。
同展示会には世界中の企業から多くの新製品や新技術が出品され、プロトタイプの展示なども多いことから注目度も高く、2019年の実績では来場者数175212人のうち、海外から61230 人もの人が訪れる世界有数の展示会となっている。
近年は日本企業の出展も増えており、広告代理店大手の株式会社大広も、国際展示会専門会社のCreative Vision、新規事業コンサルティングを主な事業とする株式会社フィラメントらと共同で「JAPAN TECH プロジェクト」を立ち上げ、日本企業のCES出展とビジネス機会の創出をサポートするなど、積極的に取り組んでいる。
CESには様々な国からの企業出展があるが、その中に埋もれることなく存在感を示している日本企業は多い。とりわけ、今回のCESでは自動車の電動化や自動運転化、産業分野でのスマート化などをテーマにした展示が目立ったが、日本のモノづくり技術は注目を集めていたようだ。
ソニー〈6758〉の展示も、国内外で大きな話題を呼んでいる。
今回、ソニーがCES 2020の会場で発表したのは家電でもなく、ステレオプレイヤーでもなく、最先端の「自動車」だった。
一部では、ついにソニーが自動車分野に乗り出すのかと衝撃が走ったようだが、実はそうではないらしい。同社によると、ソニーが得意とするセンサー技術やセンシング技術によるセーフティドライブを支援、さらにはオーディオビジュアルをはじめとしたリッチなエンターテインメント体験をかなえる次世代のモビリティ体験を形にしたものが、今回のCES2020に出展された、世界で唯一のコンセプトカーだという。
電子部品大手も多数出展している。例えば、のローム株式会社〈6963〉は、これからの自動車の電動化の進展には欠かせないと言われているSiC (シリコンカーバイド)パワーデバイスの分野において、近年、世界的に躍進を遂げている企業だが、今回のCESでの展示も、SiCデバイスモジュールを使った技術が中心に紹介されていた。
「xEV向けSiCデバイスモジュールのソリューション」展示は、来場者からの興味を集めていたようだ。また、他にも同社が進めている、走行中充電を可能にする「In Wheel Motor」をパネルとモジュールで紹介するなど、車社会の未来を予感させる盛りだくさんな内容だった。
また、自動車分野ではないものの、ユニークな展示で好評を得ていたのが、日本の寝具メーカー西川株式会社の[エアー]SLEEP TECHだ。西川が日本の寝具メーカーで唯一の展示だが、意外性だけの色物展示ではなく、同社の取り組みは本気だ。
まず、マットレスを西川独自の研究による睡眠科学に基づいて開発。睡眠データを計測し、取得したパーソナルデータを西川のプライベートクラウドに送信。睡眠の質を解析し、Amazon Alexaなどのサービスと連携して、エアコンや照明、音響などの生活家電をコントロールし、寝室環境をリアルタイムで制御する。さらには、パーソナルデータを可視化して、栄養管理、トレーニング指導、化粧品の提案など、一人ひとりにあったアドバイスを行ってくれるという。快適な睡眠も今や、IoTで分析する時代なのだ。
CES2020の展示に垣間見える、世界の未来。テクノロジーは私たちの想像以上に加速しているようだ。(編集担当:藤原伊織)