3年前から月に2~3回、産経新聞記者宅で金銭を賭けマージャンしていた問題で辞職した東京高検の黒川弘務前検事長に対する処分が極端に軽い「訓告」になった背景について共同通信は「法務省が懲戒相当」と判断していたものを「官邸が懲戒にはしないと結論付けた」ため、法務省内規に基づく「訓告」になった旨、複数の法務・検察関係者の証言を得たとして25日までに報じた。
官邸主導で退職金にも影響しない異例の内規での処分になったことになる。安倍晋三総理は22日の衆院厚労委員会で「訓告」にしたのは「稲田伸夫検事総長が事案の内容、諸般の事情を考慮し行った」と答弁していたが、形式上は稲田検事総長であったにしても、官邸が懲戒処分にしないとの結論を出したためで、この総理答弁は「形式上は虚偽ではないが、実質は官邸が訓告にさせたにも関わらず、責任を稲田氏に転嫁した『総理の虚偽答弁』としか言いようがない。
刑法第185条は賭博をした者は50万円以下の罰金又は科料に処すとあり、「金銭はその多寡にかかわらず許されない」(大審院判例・大正13年2月9日)。常習賭博罪(刑法第186条第1項)では「3年以下の懲役に処す」と懲役刑のみで、罰金刑はない。加えて、賭博場を開いたりしたものについては「3月以上5年以下の懲役に処す」とある。
黒川前検事長が常習者に当たるかどうかわからないが、自民党の石破茂元幹事長は、この黒川氏らの行為が事実なら「単純賭博罪にあたることは間違いないでしょう」とコラムで指摘。黒川前検事長に対する行政処分は「訓告」になったが、司法はどうなるのか、また、今回の報道を受けて、安倍総理には国会で国民に対しての明確な説明が求められる。(編集担当:森高龍二)