無形文化遺産「和食」ブームでコメビジネス20%成長。国内米飯市場も堅調

2020年07月19日 11:09

画・無形文化遺産「和食」ブームでコメビジネス20%成長。国内米飯市場も堅調。

矢野経済研究所がコメビジネス・米飯市場を調査。「和食」が世界的なブーム

 2013年、「和食」が「日本人の伝統的な食文化」であるとしてユネスコ無形文化遺産に登録された。「和食」は「自然を尊ぶ食」であるとして健康志向の高まりから世界的なブームとなっている。

 農水省の推計では世界の日本食レストランの数は2019年で約15万6000店となっており、人気メニューのひとつである寿司など「和食」には水分が多く粘り気のある日本米が不可欠であり品質・食味から日本米への需要は増加傾向だ。財務省の貿易統計によると18年の輸出相手国は数量・金額ともに香港がトップ、次いで2位シンガポールでこの2カ国が高いシェアを占める中、アメリカが3位に躍進するなど新たな市場開拓も進んでいる。

 矢野経済研究所が国内のコメビジネス・米飯市場(日配・加工米飯市場)を調査し、市場動向、参入企業動向、将来展望を明らかにしたレポートを9日に公表している。これによれば18年度のコメビジネス(品種開発・生産・加工・流通・販売)の市場規模は303億円で前年度比119.8%と2割の高い伸びとなっている。

 また、18年度における米飯市場の規模は小売金額ベースで2兆4848億円、前年度比101.5%と小幅ながら堅調な伸びとなっている。ここで、米飯市場とは日配米飯(おにぎり、持ち帰り弁当、給食弁当等)と加工米飯(冷凍米飯、レトルト米飯、無菌包装米飯等)を合計したものである。一時期は景気低迷の影響を受け減少傾向となったが近年は単身・共働き世帯の増加等に伴う調理の代替需要を取込み堅調に推移している。

 トピックとしてはパックご飯(無菌包装米飯)が家庭用・防災用備蓄食・業務用として需要が期待され、商品化においては「高品質・適量・健康」がトレンドとなっており玄米ご飯、発芽玄米等の機能米を加工した商品が健康志向の高い女性を中心に支持を集めているようだ。需要は拡大傾向のようだが設備投資が追い付かず18年度のパックご飯は前年度比 106.0%の673億円に留まった。

 1月時点での推計ではオリンピックとそれに伴うインバウンド需要でコメビジネス市場は23年度に18年度比198.3%の601億円に急拡大すると見込まれていたが、新型コロナの発生により、この実現はほぼ不可能となった。米飯市場は単身・共働き世帯の増加を背景に23年度2兆6691億円、18年度比107.4%と予測されている。この予測にも新型コロナの影響は考慮されていない。(編集担当:久保田雄城)