流行語大賞に見る2012年の世相とは

2012年12月10日 11:00

 「2012ユーキャン新語・流行語大賞」(「現代用語の基礎知識」選)が12月3日に発表された。1984年に創始され、毎年12月1日に発表されるこのイベントは、1年間で発生した「言葉」から、世相を映しつつ話題となったものを表彰する賞。候補となる言葉は「現代用語の基礎知識」の読者アンケートによりノミネートされ、その中から新語・流行語大賞選考委員会によりトップテン及び年間大賞が選定される。

 2012年は年間大賞にお笑い芸人スギちゃんのギャグ「ワイルドだろぉ」が受賞。トップ10には、政治不安の影響なのか、日本維新の会代表代行・橋下徹大阪知事の「維新」、みんなの党代表の渡辺喜美氏や社民党党首である福島瑞穂氏などの「第3極」、野田佳彦首相の解散を巡る発言「近いうちに…」など政治がらみの言葉が3つ入ったが、あとはロンドン五輪での松田丈志選手の「手ぶらで帰らせるわけにはいかない」、週刊朝日編集部や流通ジャーナリストであった故金子哲雄氏に関連した「終活」、ウェザーニューズの「爆弾低気圧」などが入り、経済に関連した言葉としては低コスト航空会社の「LCC」が選ばれている。

 今回、ノミネートされた50の言葉をすべて挙げると「ネトウヨ」「50℃洗い」「終活」「ロングブレスダイエット」「LCC」「美魔女」「タニタ食堂」「オスプレイ」「いいね!」「原発ゼロ」「ナマポ」「iPS細胞」「もっといい色のメダル」「東京ソラマチ」「ワイルドだろぉ?」「27人のリレー」「手ぶらで帰らせるわけにはいかない」「竜巻」「ジュリー」「決められない政治」「体幹トレ」「維新の会」「維新八策」「塩こうじ」「爆弾低気圧」「遠隔操作ウイルス」「これまでに経験したことのないような大雨」「近いうちに解散」「街コン」「ビッグパフェ食べたい」「キンドル」「金環日食」「うどん県」「ステマ」「この人を見よ」「キラキラネーム」「霊長類最強女子」「オッケ~」「奇跡の一本松」「金メダルに負けない人生」「ソー活」「佐川男子」「あじさい革命」「イクジイ」「たかが電気のために」「チーム力」「休眠口座」「第3極」「自称霊能者」「野獣政治」となっている。

 昨年は東日本大震災関連の言葉が多かったことが特徴だったが、今年はノミネートされた50の言葉の中にオリンピック関連のものが多いのが特徴だろう。しかし「キンドル」や「ステマ」といった言葉は選ばれたものの、直接経済に関連するようなものは少ないように感じられる。2012年度も日本の経済不況はかなり深刻で、シャープやパナソニックなど大手企業の大赤字をはじめ明るいニュースは皆無に近かった。しかし現代の世相を反映する1つの指標であるこの「言葉」の中に、経済絡みの「言葉」が少ないのはやはり問題ではないだろうか。それは世間が経済不況に慣れてしまった感があるのか、それとも見ないふりをしているのか…。いずれにしろ、国民が経済不況に目をそむけず、向かっていかなければ、日本の景気回復は望めないのではないだろうか。