人材サービス、コロナの影響で成長鈍化。建設、保育、農業分野で今後成長が期待

2021年01月20日 06:51

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矢野経済研究所が業種・職種別人材ビジネス市場を調査。2019年度の市場は前年度比7.2%増。新型コロナの影響で20年度はマイナス成長の見込

 新型コロナ感染症の影響で経済が停滞し続けている。失業率は上昇傾向で推移し、求人倍率は大きく低下した。求人倍率は2019には1.6倍超えと1970年代並の高水準に達していたが、昨年11月には1.06倍まで急下降している。全体として人手不足感は緩和されてきたとは言うものの、業種や地域によりバラツキは大きくなっている。

 1月14日、矢野経済研究所が「業種・職種別人材ビジネス市場調査」の結果レポートを公表している。レポートによれば、19年度の業種・職種別人材ビジネスの市場規模(5市場計)は前年度比7.2%増の4兆398億円であった。労働力不足・人材確保難を背景に人材ビジネス市場は中・長期的に引き続き拡大するものとみられるが、新型コロナの影響により20年度は前年度比4.9%減の3兆8426億円のマイナス成長となる見込みだ。

 5市場のうち19年度において前年度より市場規模が2桁成長した市場は、技術者派遣サービス、および介護人材サービスの2市場のみであった。一方、製造派遣・請負サービス、営業・販売支援人材サービス、医療人材サービスの3市場は、新型コロナの影響などにより成長鈍化となっている。

 今後成長が期待されているのは建設業界向け人材サービス、保育人材サービス、農業支援人材サービスの3市場だ。建設業界向けの人材派遣サービスは、施工管理業務を中心に、現場事務所での事務員、CADオペレーターなどの職種だ。

 保育人材サービスでは、働く女性の増加などが背景となり、保育施設の利用ニーズは増加傾向だ。待機児童問題が継続的な課題となっている中、保育士確保に向けた競争環境は激しさを増しており、保育士を対象とする求人情報サービスや人材派遣・人材紹介などを手掛ける人材サービス事業者への需要は高まりを見せているようだ。

 農業支援人材サービスは、収穫期の短期集中、労働集約型の産業であるため派遣サービスとの親和性は高く、今後、外国人労働者の増加によって当該サービスへの需要は拡大すると見込まれるが、農業就業者の減少による需要減も想定され、賃金面などの労働条件の改善も課題となっている。

 21年以降は、新型コロナの収束は不透明であるものの、事業活動の正常化やコロナ禍での働き方の定着などによって、人材サービスへの需要は回復傾向になると見込まれる。しかし業界、職種などにより回復の度合いは大きくばらつくと想定されている。(編集担当:久保田雄城)