日本の労務・人事。同一労働同一賃金の実現は3割。女性管理職登用は1割未満が半数

2020年07月12日 10:26

画・日本の労務・人事。同一労働同一賃金の実現は3割。女性管理職登用は1割未満が半数。

グローバル化の中で日本企業の人事・労務慣行は多くの点からその変革が求められている

 グローバル化の中で日本企業の人事・労務慣行は多くの点からその変革が求められている。その一つとして正規雇用労働者と非正規雇用労働者の賃金格差を是正する同一労働同一賃金の実現がある。

 政府はすでに改正パートタイム労働法を制定し、大企業については2020年4月より、中小企業は21年4月から施行されることとなっており企業は同一労働同一賃金への対応をせまられている。しかし、現実的には待遇差の合理性や人件費の増大など様々な課題が指摘されている。また女性の管理職登用率についても政府は世界標準の30%を20年までの目標として掲げているが企業での進捗は順調とは言えない状況だ。

 こうした企業の人事・労務制度の改革の状況について人材サービス業のHRビジョンがこの3~4月にかけ自社会員の企業の人事担当者・経営者4783名を対象に調査を実施し、これを「日本の人事部・人事白書2020」として取りまとめ7日に公表している。

 レポートによれば、同一労働同一賃金に関する対応の進捗状況について聞いたところ、「完了した」と回答した人事担当者の割合は28.6%、「ほぼ完了した」が45.1%、「一部完了した」21.4%、「まったく行っていない」4.9%となっており、調査時期が改正法の施行される3~4月ということもあるものの、同一労働同一賃金が実現されている企業は3割未満でレポートでは「対応不十分」と評価している。

 また、課長クラス以上の管理職全体に占める女性の割合を聞いた結果では、「1%以上5%未満」が33.5%で最も多く、次いで「5%以上10%未満」が20.0%、「0%」が19.7%、「30%以上」6.9%、「10%以上15%未満」5.9%と続いている。10%未満を合計すると73.2%となり政府の目標からはほど遠い現状のようだ。6年前の14年の調査の結果では10%未満の合計は76.0%であったので、この6年間に3ポイントほどの変化しか見られない。

 日本の産業が世界から大きく遅れをとっている要因の主なものとして日本固有の人事・労務慣行が挙げられることが多い。たしかに政府主導による人事・労務制度の改革は前進しているようだがその進捗は極めて緩やかなようだ。(編集担当:久保田雄城)