新型コロナ感染症対策としての自粛要請、休業要請はかつて経験の無いほどの経済停滞を生み出した。5月の完全失業率は2.9%で上昇傾向が続いている。失業率が1%と上がると約2300人の経済自殺が誘発されるといわれ、いずれ大きな社会問題になることは間違いない。各種の民間調査を見ると収入や仕事を失った者は10%近くまで達している可能性もあり、特にアルバイトなどの非正規雇用の者でその傾向は著しい。
人材サービス業のリブセンスが6月中旬に自社の求人サイト利用者1136名をサンプルにアルバイト労働者の収入の現状等について調査を実施し、1日にその集計結果を公表している。調査結果によれば、新型コロナウイルスの影響による5月の月収の変化について質問した結果、回答者全体の70.6%が新型コロナウイルス流行前の平均的な月収と比較してその後の収入が減少したと回答している。
金額別に見ると、「15万円以上減少」が8.4%、「10~15万円」4.7%、「5~10万円」22.1%、「2~5万円」27.5%、「2万円未満」8.0%、「変らない」26.1%、「増えた」3.3%となっており、「2~10万円」で50.6%と半数を占め、「5万円以上」で35.2%を占める。
「減少した」と答えた者に対して6月の収入と5月の収入の比較を聞いた結果では、「減少見込み」が14.6%、「変らない」45.1%、「2万円未満増加」が14.5%、「2~5万円」14.6%、「5~10万円」7.5%、「10~15万円」2.2%、「15万円以上」1.5%となっており、「減少」と「変らない」を合計すると59.7%と6割以上が5月時点より増加していないようだ。増加額5万円未満まで含めると88.8%と9割近くの者が元の状態に戻っていないと推測できる。
収入の減少の対策について質問した結果では、「アルバイト等の数を増やした」が33.0%と最も多く、次いで「支出を減らした」が29.3%、「公的な給付金を申請」15.2%の順になっている。「公的な貸付金の申請」は4.4%で行政の支援策の利用は19.6%と2割程度だ。
現在探している職種についてみると、「飲食・フード」が40.2%と断トツで多く、次いで「販売・ファッション等」13.7%と続き、やはり飲食・アパレル関係で職や収入を失った者が多いようだ。今後予想される経済自殺増大を抑止するためにもアルバイト等の非正規労働者への支援がまだまだ必要なようだ。(編集担当:久保田雄城)