新型コロナウイルス感染症の流行で自動車市場は世界的に低迷している。しかし、多くのレポートが市場の早期回復を見込んでいる。その理由はEV(電気自動車)や自動運転車など新しい技術、新しい時代の車両が既に用意されているからだ。コロナ禍の様々な不安の中で新車購入の延期等、消費者の購買意欲は減退しているが、一方、新時代の車両には強い関心を示しており、コロナ禍での不安を払拭する販売様式が回復速度を決めるカギとなりそうだ。
ドイツの市場調査業大手GFKが昨年11月に、日本、タイ、中国、インドの「今後1年以内の自動車購入意向者」8000サンプルを対象に「自動車業界の消費者ニーズと購買動向に関する調査」を実施、2月18日に同社の日本法人が本調査の日本市場に関する部分についてレポートを公表している。
レポートによると、日本の新車にかける予算の平均値は約330万円、新車購入検討者の半数が以前と同じブランドの車を購入する意向であると回答している。新しいタイプの車にも高い興味を示し、自動車運転に対しては「安全」「楽しい」ことを望んでおり、車両技術にその機能を求めている。
EVの購入意向は4%と諸外国に比べまだまだ少ないようだ。日本でも半数が新車購入時に代替エンジンを選択しているものの、大半はPHEVを含むハイブリッドエンジンに集中している。EVが代替エンジン車として選択されない理由として「値段が高価」、「充電インフラの欠如」、「充電に必要な時間」が挙げられている。
自動車のデジタルイノベーションについては、32%が最新のデジタル機能を搭載した車を「確実に検討する」と回答、運転体験を改善するために「安全技術」、「インフォテインメントシステム」、「自動運転」が搭載された車を購入したいと答えている。日本では自動運転に対する信頼性は高く、45%が自動運転の安全性・信頼性を評価し、全体の約6割が「完全自動運転」車に興味があると回答している。
日本での新型コロナの影響をみると、コロナの家計への影響を懸念している対象者は90%にのぼっている。この先2年内に自動車購入を検討している者のうち、28%が「購入時期を遅らせる」と回答、23%が「購入予算を減らす」と回答している。時期を遅らせると回答した者のうち「3か月以上購入時期を遅らせる」と回答した者の割合は65%にのぼる。
コロナが新車販売減速の要因だが、3割の者がオンライン購入に「興味がある」と回答しているなど、コロナ禍での安全・円滑な販売様式が回復速度のカギとなりそうだ。(編集担当:久保田雄城)