コロナ禍の景気低迷が続いている。政府は既に2018年からの景気の後退局面入りを認定している。後退局面入りの背景としては米中貿易摩擦の影響による中国、米国経済の失速が指摘されてきたが、この状況に新型コロナの影響が加わり景気低迷はより深刻化、長期化している。しかし、このところ製造業を中心に持ち直しの動きが見られる。この背景の一つとしては中国経済の早期回復、世界的な自動車市場の回復基調などが考えられる。
3月11日、日本産業機械工業会が1月の産業機械受注状況を公表している。これによれば、1月の受注高は2623億2,900万円で前年同月比110.5%のプラス成長となっている。内需と外需の内訳を見ると、内需が前年比117.5%、外需が97.6%となっている。内需は20年12月の104.5%に続き2カ月連続のプラスだ。民需と官公需で見ると、民需が120.5%、官公需が120.8%、民需は2カ月連続のプラスだ。民需の内訳では、製造業が104.4%、非製造業は143.1%で2カ月連続の大幅に伸びだ。
機種別に見ると、プラスチック加工機械が215億3500万円、前年比149.8%で昨年の第4四半期から高い伸びが続いている。また変速機が128.9%、金属加工機械149.6%で昨年末からのプラス成長が目立つ。
需要部門別で民需を見ると、非製造業ではその他を除くと電力業の408億5100万円が突出しており、伸びの高かったプラスチック加工機械では自動車工業の13億5100万円が目立っている。
同日に公表された同会の1月の産業機械輸出契約状況を見ると、主要約70社の輸出契約高は726億7600万円で前年同月比94.4%と前年割れだが、鉱山機械がアフリカの増加により113.9%、プラスチック加工機械がアジア、ロシア・東欧の増加により167.4%、変速機がアジアの増加により190.1%、金属加工機械がアジアの増加により196.6%とプラス成長となっている。このうちプラスチック加工機械と変速機は昨年10月からプラス成長を持続している。
現在のところ産業機械では内需の電力業向けの好調が目立つ。また自動車工業向けも復調しているようだ。外需では7割を占める中国などアジア向けで持ち直しの動きが目立ち、産業機械を中心に今後製造業は回復基調に向かう兆しが見られる。(編集担当:久保田雄城)