【積水ハウス決算】 第5次中計初年度前半はコロナが影響するも過去最高の売上高で着地、成長軌道に復帰

2021年03月06日 09:04

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3月4日、積水ハウスが2021 年1月期の本決算を発表した

 3月4日、積水ハウスが2021 年1月期の本決算を発表した。ほぼ増収増益だった前期の2020年1月期から一転、新型コロナウィルスの感染拡大の上半期の影響で減益を余儀なくされたが、ゼネコン鴻池組の買収効果もあり5期連続の増収を確保。下半期からは住宅の受注が堅調で、2022年1月期は増収増益の成長軌道に復帰できると見込んでいる。

 ■請負型、ストック型ともトータルの受注高はプラス

 2021年1月期の売上高は前期比1.3%増の2兆4,469億円で、前期の11.8%増からペースダウンしたものの増収は確保。営業利益は9.1%減の1,865億円、経常利益は13.7%減の1,846億円、当期純利益は12.5%減の1,235億円で、前期の増益から減益に転じている。年間配当は3円増配の84円で、9期連続増配となった。

 セグメント別の売上高は、「請負型」は上半期に新型コロナウィルスの感染拡大による販促イベント自粛の影響が出た戸建住宅事業の17.3%減、賃貸住宅事業の0.4%減を、2019年10月に連結子会社化したゼネコン、鴻池組を傘下に持つ鳳ホールディングスの売り上げを含む建築・土木事業の150.3%増が補い、全体では12.9%の増収だった。「ストック型」は営業活動自粛の影響によるリフォーム事業の7.6%減収を、賃貸住宅「シャーメゾン」の一括借り上げ・管理受託が堅調だった不動産フィー事業の4.3%増収が補って全体では1.6%の増収。「開発型」の各事業および国際事業、その他は減収だった。

 営業利益でも請負型の建築・土木事業の330.2%増が突出し、他にはストック型の不動産フィー事業も増益だった。受注高は全体では3.2%減だったが、請負型、ストック型ともトータルでは14.4%増、2.2%増とプラス。戸建住宅事業、賃貸住宅事業、リフォーム事業の新規受注は営業活動制限の段階的緩和、「グリーン住宅ポイント制度」の創設などもあって下半期から順調に回復しており、それが2022年1月期の業績回復に寄与すると見込まれる。

 ■第5次中期経営計画の中間年は計画目標達成に向けて視界良好

 2022年1月期の業績見通しは、売上高は4.3%増の2兆5,520億円、営業利益は7.2%増の2,000億円、経常利益8.3%増の2,000億円、当期純利益9.3%増の1,350億円で増収増益を見込んでいる。利益は過去最高だった2020年1月期の実績の93~97%まで回復すると見込んでいる。配当予想は年間配当2円増配の86円で、10期連続の年間増配を計画している。

 セグメント別では、売上高は「請負型」の戸建住宅事業6.4%増、賃貸住宅事業8.3%増、「ストック型」のリフォーム事業18.4%、「開発型」の分譲住宅事業17.1%増を見込んでいる。営業利益では29.4%増のリフォーム事業、45.0%増の分譲住宅事業が大きく伸びる見通し。利益率が高いリフォーム事業は受注高も17.9%増を想定し、業績回復の大きな柱になると目されている。

 2022年1月期(2021年度)は、「コアビジネスのさらなる深化と新規事業への挑戦」を基本方針とする第5次中期経営計画(2020~2022年度)の2年目、中間年にあたる。最終年度の2023年1月期の「売上高2兆7,000億円、営業利益2,200億円、当期純利益1,470億円、営業利益率8.1%、EPS217.31円、ROE10%以上」という経営目標達成に向け、大きく前進することが求められる年になる。

 業績回復の主役の一つと期待される製品は、高断熱性と省エネ設備に加え、太陽光発電などの創エネシステムなどにより光熱費を節約できる「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)」の賃貸住宅で、単価も付加価値も粗利益率も高い。戸建住宅では2019年度で採用率87%の実績があるが、賃貸住宅でも環境意識が高く、賃貸住宅の主な入居層である若い世代に支持され、2021年1月には年間2,500戸の当初の受注目標を前倒しで達成。リフォーム事業でも部分断熱のリノベーション「いどころ暖熱」のような省エネ型の「環境型リフォーム」に力を入れている。

 コロナ禍で「家庭内感染対策」など住宅内の空気への関心が高まっている中、戸建住宅で温度変化を抑えながら換気と空気清浄を行える次世代室内環境システム「SMART-ECS(スマート・イクス)」も、一層の普及を図っていく構えだ。

 前年度の業績がコロナ禍下でも底堅く推移し、下半期からは受注状況も回復基調に入っている。第5次中期経営計画の中間年は、計画目標達成に向けて視界は良好と言える。(編集担当:寺尾淳)