人事院と総理 勧告めぐり見解の違い浮き彫り

2011年11月22日 11:00

 東日本大震災の復興財源の一部にあてるため、国家公務員の給与を平成26年3月末まで平均7.8%削減する時限立法の特例法案と人事院勧告(平均0.23%の減額勧告)の扱いを巡り、21日開かれた参議院予算委員会で、江利川毅人事院総裁と野田佳彦総理が改めて見解を異にしていることを浮き彫りにした。

 江利川人事院総裁は、人事院勧告は公務員の給与構造を是正するためのものであり「人事院勧告を完全実施し、そのうえで大震災復興財源のために公務員の人件費をどう見直すかについては、これはこれとして内閣、国会で大所高所に立って判断頂くべきことだと思う」と語った。

また、人事院勧告を実施したうえで、あらたに復興財源捻出のために公務員給与を削減することについて「人事院が反対している訳ではない」と明言した。

 一方、野田総理は「人事院勧告は尊重しており、特例法案は人事院勧告を内包している」とした。

 江利川人事院総裁は「特例法案は時限立法であり、26年4月からは今回の人事院勧告を反映していない給与法に戻るため、特例法に内包しているという(論理)には無理がある」と勧告実施後に、新たに給与削減のための特例法をとの考えを強調した。

 礒崎陽輔議員(自民党)が取り上げたもので、礒崎議員は「人事院勧告を実施した後、給与削減のための深堀をすればいい。勧告を実施しなければ退職金120億円が過払いになる」と政府に段階を踏んだ対応を求めた。(編集担当:福角忠夫