与党・公明党の山口那津男代表が17日の党会合で東京五輪・パラリンピックについて「中止を叫んでいる政党もあるが、極めて非現実的な主張で、国民の不安をあおりかねない」と語ったことが報じられると、この発言に反論や批判が相次いでいる。
立憲民主党の蓮舫代表代行は「公明党、山口代表には五輪にただ突き進むことに対する国民の『今の不安』の声がまったく耳に届いていないのでしょうか」とツイッターで強く疑問視した。
従来のコロナウイルス感染症に比べ2倍以上の感染力があると専門家が指摘するインドで最初に確認された変異株(デルタ株)は6月11日、国内で105例、検疫で202検出されていることを西村康稔担当大臣が明らかにしている。
五輪開催で新たな変異株が生まれれば、そして医療体制が整っていない後進国はじめ世界に拡散するような事態になれば、それこそが不安につながっており、そうした中で五輪開催をいい、中止を求めない政府・与党にこそ、国民の多くが不安を感じている。
ネット上では「五輪中止が非現実的とはどういう感覚なのか」「安心・安全の科学的根拠を示さないまま、開催に向けて突っ走る方がよっぽど非現実的。今の政権は国民の命より五輪優先」「開催するほうが非現実的だ」「不安を煽っているのは中止・延期は議論にも上がらずに突き進んだ現状と無観客を匂わせながら有観客数を画作するやり方だ」などなど批判が相次ぐ。
国際ジャーナリストの高橋浩祐氏も「パンデミックの最中での五輪中止を説くのは、はたして非現実的だろうか。むしろ国際常識では、パンデミック禍で五輪を強行しようとする方が非現実的だろう。数多くの権威ある海外の医学誌やメディアが五輪中止を唱えてきたのがそれを証明している」と反論。
そのうえで「特に今は国の内外で感染力が強く重症化しやすい『デルタ株』の感染がぐっと拡大している。ワクチン接種後進国の日本がいったい人命のリスクをさらしてまで、なぜ五輪を強行しようとするのか。それをおかしいと指摘し、中止を求める多くの国民の声をなぜ『非現実的』と言えるだろうか」と発信した。
他にも「そもそも国民の不安は、こんな中、開催することで被害が広がる可能性があるからだ」との意見や「私に言わせればパンデミックの最中に五輪を開催する方がよほど非現実的だ。五輪を強行した挙げ句にインド変異株の蔓延を引き起こしたのならこれは自民党と公明党による完全なる人災だ」と訴える声も出ている。
また「スポーツの力でコロナとは戦えない。これ以上、医療従事者を疲弊させてはいけない。何故中止をして欲しいと選手達は声を上げないのか」との声も上がっている。(編集担当:森高龍二)