電気自動車発展のカギはノイズ対策にあり。世界が注目する「圧倒的ノイズ耐量」を実現

2021年06月20日 08:36

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「ガソリン車やディーゼル車は、近い将来、電気自動車に置き換わるだろう」。そうは言ってもなかなかやって来なかった「近い将来」が、最近になってより現実味を増してきた

「ガソリン車やディーゼル車は、近い将来、電気自動車に置き換わるだろう」。そうは言ってもなかなかやって来なかった「近い将来」が、最近になってより現実味を増してきた。欧州各国では、既に脱ガソリン車・ディーゼル車に向けた目標のもと、電気自動車へのシフトを着実に推し進めている。背景には地球温暖化の主な原因とされる二酸化炭素(CO2)の排出量を抑制する、「脱炭素社会」を目指す動きがある。欧州を席巻しているこの流れが、日本にも押し寄せて来ている。

ボストン コンサルティング グループ(BCG)の報告によれば、2030年には世界の電気自動車が新車販売台数を占める割合が51%、日本市場では55%まで伸び、ガソリン車を上回ることが予想されている。国内の自動車主要メーカーも電気自動車やハイブリッド車、プラグインハイブリッド車など、世界に負けじと開発競争を続けている。

 ただ、この急激な電気自動車に向いた流れには、少なからず課題も存在する。それは、ノイズ対策だ。電気自動車には数多くの電装システムが存在し、更にスペースを削ることで高密度化してしまう。ただでさえ近年の流れから、自動運転やブレーキサポートなどのADAS(先進運転支援システム)に必要な車載電装システムが、以前よりも確実に増えている。そこに自動車自体の電装システムが加わり、更なる高密度化がより多くのノイズを発生させてしまうのだ。

 ノイズは、家電や単純な電子機器でも発生するが、車載環境下でのノイズは、より深刻だ。快適なドライブを妨げるだけでなく、ひとたびシステムにエラーが発生すれば人命にも関わる。家電などに比べてより一層の徹底したノイズ対策が必要だ。ところが、自動車開発では基板やシステム単体でノイズ評価を逐一行うことは難しく、組み立て作業後にまとめて実施するのが一般的だ。その段階で、もしも評価がNGになってしまえば、大規模な修正が必要となってしまう。最悪の場合、一から設計をやり直すことにもなりかねない。今後の電気自動車産業の発展のカギは、このノイズ対策にあると言っても過言ではないだろう。

 そんな中、国内大手の電子部品メーカー・ロームが、圧倒的ノイズ耐量の高性能オペアンプ「BD8758xYx-C」を発表した。同社では、ISO11452-2による国際的ノイズ評価試験において、全ノイズ周波数帯域での出力電圧変動が非常に小さい製品に「EMARMOURイーエムアーマー?」というブランド名を冠して販売しているが、今回発表した「BD8758xYx-C」は「EMARMOUR」のラインアップの中でも、至上最高クラスのノイズ耐量を実現しているという。国際的に使用される4種全てのノイズ評価試験でも圧倒的な性能を示しており、海外の自動車メーカーからも注目を集めている。今後の展開が楽しみだ。

 日本の基幹産業である自動車産業は今、欧州をはじめとする世界のメーカーに押されている印象がある。今後も様々な安全性や利便性を追求すべく、高度なセンサーやAI、車載コンピューター、クラウド基盤など、更なる車載電装システムの追加が予想される。自動車メーカーの巻き返しとともに、信頼性の高い電子部品分野での日本メーカーの奮闘にも期待したい。(編集担当:今井慎太郎)