積水ハウスとマリオットは6月9日、和歌山県すさみ町に地方創生事業「Trip Base 道の駅プロジェクト」の13番目のホテル「フェアフィールド·バイ·マリオット·和歌山すさみ」を開業。コロナ禍が収束したら行ってみたいところが、また一つ誕生した。
新型コロナウイルスの感染が拡大してから、2度目の夏がやってくる。未だ賛否両論はあるものの、来月には東京オリンピック・パラリンピックも控えている。緊急事態宣言の効果もあってか、各地での感染者数も減少傾向にある。変異種の登場など、不安要素は多いものの、少しずつではあるが、社会はコロナ禍収束に向けて進み始めているのではないだろうか。
そのカギを握るのは、コロナ禍収束の切り札と期待されるワクチン接種だ。日本でもようやく5月から、国民へのワクチン接種が本格的に動き出した。開始当初は、会場や人材の確保、予約手続きなどで少々混乱がみられたものの、6月に入ってからは民間企業の協力なども得て、順調に稼働しているように見える。ゴールドマン・サックスも、日本でのワクチン接種回数が、8月には菅義偉首相が掲げる「1日100万回」の接種ペース目標を大幅に上回る「1日120万回」に達するとの見方を示している。6月21日からは、職場や大学などで行う「職域接種」も開始され、大企業などを中心に申請も増えていることから、ワクチン接種のペースが加速することは間違いないだろう。菅首相が9日の党首討論で「10月から11月にかけて希望する全国民に終えたい」と表明したが、この先順調に進めば、決して実現不可能な目標では無いだろう。
新型コロナのパンデミック以降、どうしてもネガティブな話題が多いが、そろそろポジティブに「コロナ後」を考え始めても良いのではないだろうか。中央調査社が今年3月に全国の20歳以上の男女個人1201人を対象に個別面接聴取法で実施した「新型コロナウイルス感染症に関する意識調査」によると、「コロナ禍が収束したらやってみたいこと」という設問(複数回答)に対し、最も多かった回答が「国内旅行に行く」(64.4%)だったという。次いで「家族や友人との外食」(62.7%)、「テーマパークや遊園地、動物園などに行く」(32.6%)となっている。現在、最も厳しい状況下に置かれている、旅行業や観光業、飲食、レジャー産業だが、コロナ禍が収束すれば一転して盛り上がるのではないだろうか。
そんな中、すでにコロナ禍収束後の世界を見越した動きも、活発になってきた。例えば、国内ハウスメーカー大手の積水ハウスと、世界的なホテルチェーンを運営するマリオットは、6月9日に「フェアフィールド·バイ·マリオット·和歌山すさみ」を開業した。同ホテルは和歌山県すさみ町、近畿の磯釣りを代表する釣り場としても知られる枯木灘海岸が目の前に広がる野性味あふれるロケーションにあり、黒潮で育まれた豊かな海の幸や、すさみ町名物のイノブタ料理などを取り揃えた「道の駅 すさみ」に隣接している宿泊特化型ホテルだ。プロジェクト初となる温浴施設「望海のゆ」や、道の駅に新設される「すさみ夜市」など、ファミリーで訪れても楽しめそうな施設が充実しているのも嬉しい。
6月9日に開催されたオープニングセレモニーでは、積水ハウスとマリオット双方の代表者が挨拶を行ったほか、すさみ町の岩田勉町長らも祝辞に駆けつけ、このホテルから和歌山とすさみの新しい魅力が国内だけでなく世界にも発信されることを願った。
「フェアフィールド·バイ·マリオット·和歌山すさみ」は昨年始動した、「Trip Base 道の駅プロジェクト」の13番目のホテルになる。同プロジェクトは、25道府県の自治体や約40社ものパートナー企業と連携を取りながら、観光を起点に地域経済の活性化を目指す地方創生事業だ。「道の駅」を拠点に、旅の拠点となるホテルを開業し、「地域の知られざる魅力を渡り歩く旅の提案」を行っている。
2020年10月6日に岐阜県美濃加茂市の道の駅「みのかも」に「フェアフィールド・バイ・マリオット・岐阜清流里山公園」、同日に美濃市の道の駅「美濃にわか茶屋」に「フェアフィールド・バイ・マリオット・岐阜美濃」を相次いで開業したのを皮切りに、これまで栃木県、岐阜県、三重県、京都府、和歌山県の12の道の駅にホテルを開業してきた。
コロナ関連のニュースを見ていると、どうしても不安感ばかりが煽られてしまうが、今、日本だけでなく、世界中の国々が最先端の医療と科学を駆使して、コロナ禍の収束を目指している。ワクチンの接種が順調に進み、この夏を境に状況が徐々に良くなり、旅行や外食を楽しめる生活も戻ってくるだろう。同プロジェクトは「未知なるニッポンをクエストしよう」がコンセプトだ。密を避けながら各地を渡り歩き、知られざる魅力を発見してみるのはいかがだろうか。 (編集担当:藤原伊織)