深刻化する「活字離れ」を抑制する取組みとは

2011年11月21日 11:00

 若者の活字離れが年々、深刻化している。そもそも人間は、読書を通じて考える力を養ってきたと考えられるが、近年のネット社会の発達により、その手段さえ修得すれば、考えずとも情報が集まり、分析や判断も他人任せで成り立ってしまう傾向にある。言語力の低下は、人間の判断能力まで奪い去ってしまっていると懸念されている。

 そのような中、各企業や団体は、少しでもこの「活字離れ」を抑制しようと、様々な取り組みを行っているようだ。東京都では「『活字離れ』対策検討チーム」を立ち上げた。これにより活字の大切さを改めて見直すとともに、世界基準とされる「言語力」の向上を通じて、世界で活躍できる若者を育成すべく、「言葉の力」再生プロジェクトを実施している。

 また、ANALOG TWELVE(アナログトゥエルヴ)は小学生向けにソーシャルリーディング(読書体験共有)を支援するネットサービス「Bookly(ブックリー)」を開始した。これは日記感覚で感想文を書くうちに、読書が日常習慣となり、また数多くの種類の本を読むことで国語力や読解力、思考力の成長を促すというもの。読んだ本の名前や感想を書き込むと次の”おすすめの本”を紹介し、またサイト内で他の小学生の”おすすめの本”から次に購読する本を選べるコミュニケーションによる読書の日常化をサポートする。今後は、小学校と連携しサービスを展開する予定で、小学生が活字に親しむ機会を支援する。

 さらに山田養蜂場では、1999年より開始している活動として、自然環境・食・命・国際理解などに関する書籍を集めた「みつばち文庫」(12冊)を小学校へ寄贈している。この取り組みは、新聞や同社のホームページなどで、「あなたが本を贈りたい母校やゆかりのある小学校」を一般公募し、書籍を抽選で寄贈するという内容。小学校における図書不足の声を聞き、また、「活字離れ」を少しでも緩和する方法として始めたという。本年度は全国2,283の小学校へ寄贈。これまで13回で寄贈数は延べ42495校、50万冊を突破している。

 子どもの頃から「読書」を習慣づけることは、成長した時に物事を平面に捉えることなく、立体的に考えることができる想像力が身に着くと言われている。各企業のこうした取り組みで、小学生の「活字離れ」が少しでも抑制されることを願いたい。