脱炭素に向け、分譲マンションを全棟ZEH化する企業も

2021年11月21日 09:30

グランドメゾン上町一丁目タワー外観resize

2019年に日本で初めて、全住戸で『ZEH』対応の分譲マンションを発表したのが積水ハウスだ

 第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)が13日、成果文書「グラスゴー気候合意」を採択し、閉幕した。合意文書の大きなポイントとして挙げられるのが「気温上昇を1.5度に抑える努力を追求」すると明記した点だ。主要排出国である中国の不参加や、石炭火力へ大きく踏み込めなかった点など課題は山積だが、具体的な目標を共有できた点は着実な前進と言えるだろう。

 COP26の閉幕を受け、岸田首相も気候変動対策を進めるための、国内の体制整備を加速させるよう指示を出した。また、政府の動きに先駆けて、国内各社も本腰を入れて動き始めている。主に戸建て住宅に対応していたZEH(ゼッチ)を、マンションでも対応する動きが増え始めたのだ。

 大幅な省エネルギーと再生可能エネルギーを導入することで、年間の一次エネルギー消費をゼロにすることを目指すZEHは、マンションなどの集合住宅では難しい。そのため政府は集合住宅でも実現可能なCO2削減率を設定し、マンションのZEH化を推進している。

 このような状況の中、2019年に日本で初めて、全住戸で『ZEH』対応の分譲マンションを発表したのが積水ハウスだ。そんな積水ハウスが今度は、2023年以降に販売する分譲マンション「グランドメゾン」の全住戸をZEHに、全棟をZEH-M(ゼッチ・マンション)にすると発表した。同社は国連気候変動枠組条約(UNFCCC)事務局によるカーボンニュートラルを目指す国際キャンペーン「Race to Zero」にも参加することを表明しており、ZEHをはじめ、事業全体の脱炭素化への取り組みを加速している。いち早くZEHマンションの建設を進めてきたトップランナー企業の今後の展開にも注目したい。

 新築分譲マンションでは業界トップクラスのシェアを誇る住友不動産も9月末、今後設計する全ての分譲マンションをZEH仕様にすると発表しており、脱炭素化が困難とされてきたタワーマンションでのZEH化の進展が大いに期待できるのではないだろうか。

 三菱地所レジデンスも、同社が展開する分譲マンションシリーズの「ザ・パークハウス」で初めて、ZEH-M Readyの採用。年間の一次エネルギー消費50%の削減の実現目指す。日本初の「太陽光発電と連動するエコキュート群制御システム」を搭載することで、省エネ+創エネを実現する、環境配慮型マンションの新たなスタイルの創出を図る。

 日本は今、2030年までに、2013年比で26%の温室効果ガス排出量を削減するという目標を掲げている。目標達成に向けて、企業の協力や個々人の意識の変化は必要不可欠だ。今回取り上げたハウスメーカーのみならず、各分野が「脱炭素化」へ向けて加速していくことは間違いないだろう。(編集担当:今井慎太郎)