景気、コロナ前の水準に回復、51業種中24業種。リベンジ消費や挽回生産で今後も改善傾向

2021年12月12日 08:38

画・景気、コロナ前の水準に回復、51業種中24業種。リベンジ消費や挽回生産で今後も改善傾向。

帝国データバンクが「TDB景気動向調査」。11月の景気DIは前月比1.6pt増の43.1、3カ月連続で改善。リベンジ消費や挽回生産などで今後も回復傾向が続く見込み。懸念は人手不足、変異株の動向。

 新型コロナ感染の収束で9月下旬から段階的に移動・活動制限は緩和され、11月には経済活動はほぼ正常化された。第6波への警戒心から消費者の行動は抑制的ではあるが、マクロ経済全体としては9月より力強い改善を見せており11月の景気指数はコロナ前の水準へ回復している。

 12月3日、帝国データバンクが「TDB景気動向調査(11月)」の結果レポートを公表しているが、これによれば、11月の景気DIは前月比1.6ポイント増の43.1となり、3カ月連続で改善した。これは前年11月の35.4と比べ7.7ポイント、121.8%の改善、コロナ前の19年12月の42.5と比べると0.6ポイント、101.4%の改善でコロナ前の水準を上回った。新規感染者数が落ち着きを見せる中、今後もリベンジ消費や挽回生産などが見込まれ回復傾向は持続すると期待される。

 業種別にみると、製造、サービスなど全10業界42業種で改善傾向が見られ、51業種中24業種でコロナ流行以前の20年1月を上回る水準まで回復している。一方で、原油などの資源高や材料不足等による仕入単価の上昇が続いており、景気腰折れの可能性もゼロではない。

 産業別にみると、「製造」の景気DIは43.6で、前月比1.5 ポイント増と2カ月連続で改善。半導体不足の影響が緩和され、大手自動車メーカーが挽回生産へ向かうなど「輸送用機械・器具製造」、「化学品製造」などが大きく上向いている。「卸売」は41.3、同2.2ポイント増で3 カ月連続の改善となっており、業種では「飲食料品卸売」で年末年始に向けた酒類関係が大きく改善している。「サービス」は45.3、同1.7ポイント増、3カ月連続の改善。DX、IT投資が活発な「情報サービス」が高水準を維持。県民割などの効果もあり「旅館・ホテル」も大幅に改善している。「飲食店」は改善傾向であるもののアルバイトやパートなどが不足し厳しい状況が続いているようだ。「運輸・倉庫」は39.1、同2.0ポイント増。挽回生産などで荷動きが活発化し、一般貨物自動車運送業や倉庫業が改善した。一方、旅行業は未だ低調のようだ。

 今後は、自動車などの挽回生産や設備投資意欲の高まりなどで生産・消費両面で回復傾向が続くとみられる。一方で、活動再開に伴う資源価格上昇や供給制約にともなう収益力の二極化、人手不足感の高まり、変異株の動向などが懸念材料となっている。(編集担当:久保田雄城)