コロナ禍のテレワーク普及で地方移住への関心が高まっているようだ。企業もテレワークを円滑に進めるためオンライン化に伴う環境整備も活発に行っており、都心の職場に頻繁に通勤する必要性も少なくなったことから、郊外や地方への移住に関心を持つ者が増えている。生活拠点を地方へ移しても現在勤めている職場は変更したいとは思っておらず、移住候補地も千葉県や神奈川県など首都圏近郊が主流のようだ。
NTTデータ経営研究所/NTTコムリサーチが30~50代のホワイトカラー層1035名を対象に9月に実施した「地方移住とワーケーションに関する意識調査」の結果を公表している。これによれば、現在都市圏に居住・就業している者のうち「地方移住に関心がある」との回答は27.9%で、このうち「コロナ禍以前から関心がある」が15.0%、「コロナ禍を機に地方移住に関心を持った」は12.9%となっており、コロナ禍で地方移住に関心を持つ者が2倍近く増加したことになる。「関心がある」と答えた27.9%のうち半数の50%は「興味があるが難しい」と具体的な検討を行っていないようだが、38.2%が「検討している」と答え9.4%が「準備している」、2.4%が「既に実施している」と具体的に行動しているようだ。
「移住先での生活にあたって重視する点」について聞いた結果では、「生活インフラの利便性」の52.8%が最も高く、次いで「住宅費の安さ」50.0%、「都心からのアクセス」48.3%と続いており、移住後も生活利便性を維持しつつ、さらに都心への交通についても一定の利便性を確保したいようだ。
移住後の就業先については、「テレワークを行いながら現在の職場での勤務」が44.4%と最多、次いで「通勤しながら現在の職場」16.3%と続き、勤務先を変えずに地方移住をしたいと考えている者が多数派だ。地方移住の候補地を見ると、千葉県、神奈川県、長野県の3県が同率15.3%でトップ、次いで東京都の23区外が12.2%、埼玉県11.8%、北海道11.1%、静岡県10.4%と続いており、長野県、北海道、静岡県以外は東京都心への通勤圏となっている。候補地を選んだ理由としては、「自然環境の豊かさ」49.3%が最多で半数を占め、次いで「現在の職場へ通勤可能」30.2%、「住宅費の安さ」29.9%と続く。現在の所属のままで快適な住環境と職場のある都心へのアクセスを両立させる地域が選ばれているようだ。(編集担当:久保田雄城)