岸田文雄総理は6日、国会での所信表明演説で「市場に依存し過ぎ、格差や貧困が拡大、自然に負荷をかけ過ぎ、気候変動問題が深刻化した」と指摘し、新自由主義的な考えで多くの弊害が生じたとの認識を示したうえで、「新たな資本主義を日本としても具体化する」と訴えた。
その具体化を図るための「成長」戦略にあげたのは(1)イノベーション=10兆円の大学ファンドを年度内に創設する。イノベーションの担い手たる研究者が大学運営ではなく、研究に専念できるよう、研究と経営の分離を進める。大学学部や大学院の再編に取り組む。地域の中小企業と連携した大学発ベンチャーの創出にも取り組む。
(2)デジタル田園都市国家構想実現会議の下、デジタル田園都市国家構想を推進する。デジタルによる地域活性化を進め、地方から国全体へボトムアップの成長を実現する。海底ケーブルで日本を周回する「デジタル田園都市スーパーハイウェイ」を3年程度で完成させる。世界最先端のデジタル基盤の上で、自動配送、ドローン宅配、遠隔医療、教育、防災、リモートワーク、スマート農業などのサービスを実装していく、とした。
(3)気候変動問題=2050年カーボンニュートラルおよび2030年度に2013年度の?O2排出量に比べ、46%排出を削減する目標の実現へ、再エネ最大限導入のための規制見直し、クリーンエネルギー分野への大胆な投資を進めるとした。
岸田総理は、この目標実現のために「社会のあらゆる分野を電化させることが必要」などと強調。送配電網のバージョンアップ、蓄電池の導入拡大などの投資を進めるとも述べた。あらゆる分野の電化が電力供給対応のための原発新増設是認世論醸成にされかねない危険性も高い。(編集担当:森高龍二)